<春へ一丸・’23センバツ慶応>支える人/中 勝利引き寄せる「応援指導部」 スタンドで選手鼓舞 /神奈川
◇2人で奮闘、新たな部員求む 「センバツでは全国の猛者と戦うので劣勢の場面も増えると思うが、応援でいかにムードを立て直せるか。僕らの力の見せどころだと思っている」(応援指導部の松村朝矩(とものり)さん) 慶応では応援団のことを「応援指導部」と呼ぶ。「勝利に向かってスタンドを導く先導者」との思いが込められている。1952年に創部された伝統ある部だが、現在の部員は松村さんと、主将の浜田英聖(ひでまさ)さんの1年生2人だけ。20年度は4人、21年度は5人と近年入部が避けられがちだ。浜田さんは理由について、「先輩に厳しく指導されるような、昭和の怖いイメージがいまだに残っているからではないか」と推察する。 松村さんは父親に連れられて幼稚園の頃から六大学野球の慶応戦をよく見に行き、スタンドで選手を鼓舞する応援指導部のメンバーに憧れた。高校に入学すると、周囲からは驚かれたが、迷わず入部。浜田さんも中学時代に、大声を張り上げてスタンドを盛り上げるメンバーを見て入部を決めた。 一方、新型コロナウイルス禍で現地での応援がままならない時期が続いた。22年3月に卒業したメンバーは野球のスタンドでの応援をほとんどできずに引退した。今回のセンバツでは声を出しての応援が4年ぶりに解禁される。浜田さんは「甲子園のアルプススタンドで応援できるのは全国でも限られた応援団だけ。普段練習していることをきちんと出したい」と意気込む。 2人には選手を鼓舞するのと同時に、もう一つの目標もある。センバツのスタンドで力のこもった応援を見せ、新たな部員の獲得につなげることだ。松村さんは言う。「理不尽なこともされないし、下級生も思ったことを言える。今の応援団は昔から変わっていることを伝えたい」