知られざるイギリス・マンチェスターの都市公園・ミュージアム・ホテルなどに迫る! 今、注目すべき話題スポットとは
イギリス・マンチェスターは、近年、魅力的なスポットが次々にオープンし、話題を集めている。ロンドン在住のジャーナリスト、清水玲奈が現地に赴き、取材した。後編では最新の都市公園や庭園、ミュージアム、そしてホテルなどを紹介する。 【写真を見る】マンチェスターで今、話題の都市公園・ミュージアム・ホテルなど
100年ぶりの都市公園と、再開発で登場した空中庭園
最先端の建築物が建てられる一方で、ロンドンに比べてグリーンのスペースが少ないと言われてきたマンチェスター。しかしながら近年では、マンチェスターとその近郊で緑化計画が進んでいる。 そのひとつが、2022年の秋に、マンチェスターで100年ぶりの都市公園として新しく創設されたメイフィールド公園。メドロック川のほとりに設けられた2万6000平米の公園には、142本の樹木、12万本の低木、それに無数の植物が、イングリッシュガーデンの伝統に倣うように、自然を模して野生味たっぷりに植えられている。 メイフィールド公園は、前編で紹介した「マンチェスター・インターナショナル・フェスティバル(MIF)」の一会場にもなった。ここで行われたサイトスペシフィックなアートプロジェクトが、パキスタンのアーティスト、リシャム・サイドによる《Each Tiny Drop》だ。 見学者は、パキスタンの川で採取したという水を小さな壺に汲んで、公園の小道を歩いて運ぶ。そしてそれを、公園内の橋からメドロック川に流す。会場には、アーティスト自身による歌と、水の流れで動く仕掛けの金属棒が鳴る音が響く。パキスタンの伝統衣装でオープニングに姿を現したサイドは、「瞑想のような時間を過ごし、生命や自然の循環を考えてもらいたい」と語った。 マンチェスター市内にできたもうひとつの新しい公園が、ナショナル・トラストによって再開発されたキャッスルフィールド高架橋の空中庭園だ。全長330メートル、歴史的建造物指定グレードⅡの高架橋は、マンチェスター市内で最古の歴史地区であるキャッスルフィールドにある。1892年に建設され、1969年まで鉄道輸送に使用されていた。その後放置されていたが、市民が自由にアクセスできる緑地として生まれ変わり、一般公開された。 緑地造成にあたっては、廃棄物を最小限に抑え、可能な限り持続可能な素材を使用した。また、高架橋の日常的な運営にも持続可能なソリューションを組み込んでいる。庭では、採掘によってイギリスの自然環境破壊のもとになってきたピート(泥炭)を含まない堆肥を用い、雨水を利用して植物の水やりをしている。また、生物多様性の向上に貢献することを目指し、モニタリングを定期的に実施している。