対局は佳境に…夢の「八冠」達成なるか? “ミスをしない男”藤井七冠 プライベートでも“仲良し”の永瀬王座とは… 【#みんなのギモン】
■待ち構える永瀬王座とは… 実は仲良し「研究相手」
藤井七冠の前に立ちはだかる永瀬王座も、あらためて気になる存在です。 現在王座の永瀬拓矢さんは、31歳。ここ4年間「4期連続」で王座のタイトルを守っています。今回防衛し5連覇を果たすと「名誉王座」という資格を手にすることができます。 その永瀬さんと藤井さんは、将棋の「研究仲間」としても知られています。藤井さんが14歳でプロになったころから永瀬さんは練習相手も務め、お互いを高め合ってきました。 その永瀬さんのお父さんが経営しているのが、神奈川県川崎市にある「ラーメンショップ川崎家」という家系ラーメンの店です。店長の斉藤真一さんによると「(2人はプライベートでも)仲良し。永瀬王座が名古屋に行くと一緒に対局しているそう」だということで、いい関係の2人がいま、争っているわけです。 この頂上対決、お互いの攻守をすべてわかっている2人の勝敗を決めるということで、まさに実力も、運も必要なのだと感じます。 どちらも負けられない戦いですが、藤井七冠が「八冠」を達成する可能性はどのくらいなのでしょうか?
■グラフでわかる“ミスしない男”の圧倒的すごさ 大学が研究対象にするほど
これは電気通信大学の伊藤毅志教授らが数値化した藤井七冠の「棋力」、将棋の強さを表すグラフです。藤井七冠があまりに強すぎるので、どうしてここまで強いのか、大学の研究者たちの「研究対象」になっているのです。 伊藤教授らは、1985年度から約2万5000局を分析しました。どう分析したのかというと、人間の1手1手を「AI=人工知能」の手と比較しました。 どんな局面でも最善の手を打てるAIと比べて、人間はどれだけより劣る手を打ったか。これを「平均損失」といって、まずい手を打った数値を「マイナス」で示しています。 すると、すべての棋士の平均が約「マイナス60」で、タイトルを争う一流棋士たちですら「マイナス50から45」の間です。対して、藤井七冠は「マイナス30」と驚くべき数字に。 研究した伊藤教授によると「飛び抜けた数値」です。終盤の追い込まれた場面でも、藤井七冠がミスをしない確率「失敗しない確率が非常に高い」ことを示している、というのです。 あえてたとえるなら「ラグビーのペナルティーキックをずっと決め続ける」ようなもの。中盤・終盤でのミスが“劇的に少ない”ことが、このグラフからわかるといいます。 グラフからは、藤井七冠の毎年の安定感もわかります。