トイレの蓋は閉めても意味なし!? ウイルス飛散量は開けっぱなしと変わらず 米研究
実生活でトイレの蓋は閉めるべき?
編集部: アメリカのアリゾナ大学らの研究グループによって、便座の蓋の開閉によるウイルス飛散量の変化はないという研究結果が示されました。ただ、先行研究では細菌の飛散量の抑制になることは示されています。今回の知見を実生活に活かすにあたって、やはりトイレの蓋は閉めるべきでしょうか? 甲斐沼先生: これまでの研究で、トイレの蓋を閉めることで細菌の飛散量の抑制になることが示されていましたが、今回の研究によると便器の蓋を閉めてから水を流しても、ウイルス粒子の飛散防止にはあまり意味がないことが判明しました。今回の知見を実生活に活かすにあたって、ウイルスが関連した感染症を予防するためには、必ずしも毎回トイレの蓋を閉める必要性は高くないと考えられます。 トイレ内での感染リスクを低下させる有効的な方法は、「水を流す前に便器の中に消毒剤を入れること」「トイレのタンク内にあらかじめ消毒剤を入れておくこと」だと考慮されます。また、定期的に便器をブラシで洗浄しましょう。その後に、トイレ内にある物の表面を消毒することや殺菌効果が持続する消毒剤を使用することも、一定の効果を発揮する可能性があると思われます。
編集部まとめ
アメリカのアリゾナ大学らの研究グループは、「便器の蓋の開閉によるウイルス粒子の飛散量を調べた結果、蓋の開閉でウイルス粒子の飛散量は変わらなかった」という結果を発表しました。こうした実生活に身近なテーマの研究は、大きな関心を呼びそうです。
【この記事の監修医師】
甲斐沼 孟 先生(TOTO関西支社健康管理室産業医) 大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。2023年、TOTO関西支社健康管理室産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。