子の「一番」を褒めるとやる気をなくしかねない訳 比較の褒め方は比較対象が変わると容易に結果が変わる
今回のケースのように「クラスで1番だったね」とか「みんなよりも上手にできていたね」といった相対評価や社会的評価に頼った比較の褒め方は、短期的なモチベーションアップには効果を発揮します。 しかし、最終的には子どもが考える力を伸ばす結果にならないとわかってきています。なぜなら比較の褒め方は、比較対象が変化した場合、容易に結果が変わってしまうからです。 例えば、塾のクラスで一番の成績を取り、1つ上のクラスに上がれたとします。「クラスで1番になってすごいね!」と褒められたとしても、上がった先のクラスではすぐには1番になれないでしょう。
すると、「1番」を褒められることをモチベーションとしていたパワーは急速に失われ、やる気をなくしてしまいかねません。これは、ご褒美やもので釣った場合でも同じだといわれています。 今回のケースの場合は、1番だったという結果を褒めるのではなく、「練習を頑張った」という過程を褒めてあげることが、その子が後々かけっこに対しての捉え方を自分で考えたり、決められたりするいいヒントになるのです。
柳澤 綾子 :医師、医学博士