松本人志、M-1審査員にいない場合の影響は?2015年の不在時チャンピオンはお笑いファンに歓迎されず
2015年松本不在で優勝したトレンディエンジェルの存在
松本人志がいないM-1グランプリは、再開されて以降には一度だけ開催されました。2015年、トレンディエンジェルが優勝した時です。敗者復活戦を勝ち上がって、その勢いのままに優勝した彼らですが、残念ながら一部のM-1ファンからはあまり好意的に受け入れられませんでした。これはおそらく「松本人志が審査をしたわけでないチャンピオン」であることに原因の一端があるのではないかと思います。 しかし、一方で2015年は審査員の数が過去の大会よりも多かったことも、考慮すべきでしょう。近年では事前番組や関連ニュースの中で、しばしば「過去最高得点」の話題が挙がりますが、そもそも点数配分が違うトレンディエンジェルの存在は、そういった場では語られづらいのです。 確かに2015年当時、松本不在の中での優勝を疑問視する空気は多少あったと思います。しかし、後年になってみると、彼らがチャンピオンとして歓迎されていないように感じるのは、単純に統計データ上にあがりづらいからではないかとも感じます。2015年も例年通りの審査員数であれば、トレンディエンジェルにはまた違う評価があったかもしれません。
キングオブコントは松本不在でも優勝に異論なし
審査員に松本人志が不在の賞レースといえば、今年の『キングオブコント』(TBSテレビ)も同様です。5名の審査員でジャッジする方式に変わった2015年以降、2023年まで審査員席に必ず松本人志の姿がありました。 2024年のキングオブコントでは、新たに2014年のチャンピオンであるシソンヌのじろうが審査員に加わり、松本人志に近い立ち位置に2009年チャンピオンである東京03の飯塚悟志がスライドしていました。 2024年チャンピオンのラブレターズに対し、今のところ「松本人志がいなかったから」という理由で、優勝に異論を唱える風潮はありません。だとすれば、M-1グランプリでも同様の状況になる可能性は極めて高いと思われます。
M-1開始から20年で視聴者の審査の目が育った
出場者のメインが松本人志信者世代であった時代は、すでに終焉を迎えつつあります。「誰に憧れて芸人になった?」という質問に、松本人志の名前を真っ先に挙げる出場者は、もうだいぶ少なくなったのではないでしょうか。 同時に、視聴者にもダウンタウン全盛期を知らない世代が増えてきています。彼が笑いのカリスマであることは理解しているものの、リアルタイムに笑わせてくれた芸人という感覚は薄まっているのではないでしょうか。 さらに言えば、今は一億総審査員時代とも揶揄(やゆ)されるほど、視聴者一人ひとりが審査の目を持っています。審査員ですら視聴者側に審査されるようなムーブすらあるほど。 M-1グランプリ開始当初は、まだ視聴者が面白い“偉い人”に審査を任せてる側面が強かったように思います。でも今の視聴者たちは、すでに当時とは違う賞レースの楽しみ方を身に着けているのです。 証左として、2022年よりスタートした『THE SECOND』(フジテレビ)の全客席審査は受け入れられていますし、10月にAmazon Prime Videoで配信された『最強新コンビ決定戦 The ゴールデンコンビ』も同様の審査方法で不満の声は挙がっていません。 ここまでくると、M-1グランプリの審査員にも絶対に松本人志がいる必要性はないという結論に達してしまいます。