直虎ちゃん描いた「ナオトラック」、浜松の看板背負う運送業者の思い
トラックや電車にラッピングをして広告・宣伝をする手法は、PR戦略として一般によく行われている。業者を使ってラッピングトラックを走らせるには、それなりの広告・宣伝費がかかるわけだが、「直虎」をPRするラッピングトラックを自腹で制作して走らせている運送業者が静岡県浜松市にあると聞き、取材した。
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の舞台になっている浜松市。同市内で自動車部品などの運送を営んでいる株式会社アトランスを訪ねると、4トントラックが新たに納入されている最中だった。その車体には、浜松市のマスコットキャラクター「出世大名 家康くん」と「出世法師 直虎ちゃん」が描かれ、「女城主 井伊直虎」の大きな文字が躍っていた。 こうしたラッピングをしたトラックをナオトラックと言うのだという。同社のほかに5社がナオトラックを走らせていて、関東や東北まで運送している会社もあるため、ナオトラックは相応のPR効果をもたらしているようだ。高速道路のサービスエリア駐車場などに止めていると、たくさんの人が寄ってきて写真を撮られることも珍しくないという。 このナオトラック、ラッピングをするのに4トントラックで30万円、大型トラックになると60万円かかるという。しかも、その費用はすべて業者が自腹で負担しているというから驚きだ。浜松市内では、鉄道、タクシーなどの公共機関からコンビニ、商店まで「直虎」の文字が躍り、直虎関連の商品が溢れている。市によるとこうした取り組みはすべて各業者が自発的に取り組んでいるものだという。 しかし、直虎をPRして観光客を呼び込むことを狙う業種とは異なり、運送業者が自腹を切って直虎をPRすることにどんなメリットがあるのだろうか?アトランスの渡辺次彦社長は「派手なトラックで大切な荷物を運ばれることに抵抗を感じる荷主さんもいる。お客さんとの信頼関係がないと出来ない」とさえ話す。