ドラレコは何を買うのがおすすめ? 選び方と注意点をカーAV評論家がタイプ別に解説【2024年版】
5タイプ別、ドライブレコーダーの特徴を解説!
【前後2カメラ型】 2つのカメラを使って前後の様子を捉える、今もっとも売れているタイプのドライブレコーダーだ。それだけに販売されているラインナップも豊富で、各社とも主力モデルとしていることがほとんど。前方のカメラは大半がドライブレコーダー本体に一体化され、リアカメラは別体型としながらも撮影したデータは一括して本体に保存される。本体に装備されるモニターでは、前後の映像を切り替えて表示することも可能だ。 このタイプが売れる理由として挙げられるのが、社会問題化している“あおり運転”への対策だ。後方の状況を常にカメラで捉え、あおり運転をしてきた車両の様子を映像で捉え、いざという時はその映像を証拠として提示しようというわけだ。ただ、これは行為そのものを防ぐ手段にはならない。そこで、最近は後続車の状況を捉えつつ、AIがあおり運転につながる行為を察知して警告を発する機能を装備する機種が増えている。 最大の弱点は真横の状況は“中抜け”となってしまうため、たとえば後方から前方へ回り込む動きには対応できない。もちろん、真横からの衝突した瞬間を捉えることはできない。とはいえ、最近はカメラの画角が広がってきていることで、大半の事例に対して前後2カメラ型で対応できると考えていいだろう。 【フロント1カメラ型】 ドライブレコーダー本体に一体化したカメラで、主として前方を捉えることをメインにしたタイプとなる。この本体だけを捉えれば「前後2カメラ型」からリアカメラを省いたものと考えても差し支えない。最近はカメラの画角が大きく広がったことで、走行中の左右からの動きも鮮明に捉えられるようになってきた。そのため、真横に突っ込まれる状況以外は、事故形態としてポピュラーな出会い頭や飛び出しなどを含む大半の事故には十分対応できる。 ただ、後方のカメラがないことで、後方からの“あおり運転”や追突といった状況には事実上対応できない。あくまで出会い頭の事故や飛び出しといった走行中に遭遇する事故対策として活用するのが一般的だ。また、別売ユニットの追加が必要とはなるが、駐車監視機能に対応する機種も多く、それで機能的に十分と考えれば価格も安く、お手軽さではこのタイプに勝るものはない。 このタイプは取り付けがしやすいことも大きなメリットだ。ドライブレコーダー本体を最適な位置に取り付け、そこから電源を取るための配線をシガーソケットまで引き回せばすぐに使える。クルマの整備に不慣れな人でも10~20分程度で作業を終えることができる。前後2カメラ型が主流となった今でもこのタイプが根強く残っているのは、そうしたニーズが一定数あるからと見ていいだろう。 【ミラー型】 最近になって新車を中心に装備されることが増えてきたのが電子ミラー(あるいはデジタルミラー)で、この機能をドライブレコーダーに組み合わせたのがこのタイプとなる。具体的には、後方カメラで捉えた映像をルームミラーと同等の大型モニターに常時表示することをデフォルトとし、同時に前後2カメラ、あるいは360度カメラで捉えた映像を本体に保存することでドライブレコーダーとしての機能を持たせている。 ただし、電子ミラーと表現しているものの、後方の映像は液晶モニター上で表示していることになるため、近くのものに対して焦点が合わせにくい人にとってはルームミラーとして使いにくく感じる可能性がある。また、モニター上で後続車のライトが映り込むことを気にする人も多い。とはいえ、画面サイズは従来のドライブレコーダーと比べても遙かに大きく、撮影した映像を再生するには便利だ。人気も高く、今後もラインナップは増えていくだろう。 このタイプには前方カメラを一体化するタイプと、カメラ部を別体とする対応がある。前者は取り付けがその分だけ楽ではあるが、前方カメラの位置が固定されてしまう。アングルは変えられるものの、その自由度は低くなる。一方で後者はカメラの取り付け位置は最適位置に取り付けられるが、その分だけ配線が増えて取り付けが煩わしくなることも念頭に置いておくといいだろう。 【360度カメラ型】 その表現の通り、全周囲を撮影できるカメラを備えたドライブレコーダーとなる。カメラはドライブレコーダー本体に一体化して装備されることがほとんどで、それは本体の位置を中心に360度にわたって映像を捉えられる。つまり、本体は運転席側のフロントガラス上部に取り付けることが一般的であるため、そこから車内を含む全周囲を撮影することになる。これにより、前方だけでなく真横からの動きや、運転席を中心とした車内の様子を捉えるには最適なタイプと言っていいだろう。 カメラは一部機種を除き、カメラを下向きに取り付け、ほぼ魚眼レンズのような超広角で撮影する。そのため、全周囲は撮影できるが、鮮明な映像として捉えられるのは近い距離が中心で、特によく使う前方の映像はその一部を切り取ることとなるため、その解像度は前後2カメラ型やフロント1カメラ型に比べて見劣りすることになる。また、車内を捉えられるとはいえ、車外と明るさに差が生まれることは知っておきたい。 それと全周囲が捉えられるとはいえ、後方は車内越しで撮影することになるため、後続車の状況はせいぜい動きを把握する程度でしかない。そのため、後方の状況を鮮明に捉えたいのであれば、リアカメラを別に用意して組み合わせる必要がある。それでも、駐車監視の機能においては、全周囲を撮影できるメリットが活きることは間違いない。 【2カメラ一体型】 このタイプは前方だけでなく、車内の状況を鮮明に捉えることを目的に用意された。特に車内に向いているカメラは赤外線ライトを装備していることが多く、これを使うことで映像がモノクロにはなるものの、夜間であっても車内の状況を鮮明に捉えることができる。そのため、このタイプはタクシーなど業務用途で使う人も多い。もちろん、この機能を活かせば、外部から車内への暴力行為や、車上荒らしの状況にも対応できるわけで、防犯対策としてももっとも優れたタイプと言っていいだろう。 また、この車内カメラは真横や後方の動きを把握できるメリットもあり、360度カメラ型に近い使い方ができる。さらに前方の映像は専用カメラで撮影できることから、むしろ360度型よりも解像度が高く、最近ではこれに後方用カメラを加えた“3カメラ”として、全周囲で高解像度映像が捉えられることをアピールする機種も登場しているほどだ。 このタイプで注意すべきは、360度カメラ型と同様、同乗者を含め、常に車内の状況が記録されることとなることだ。これが気になる人は選択を避けた方がいいかもしれない。また、2カメラ一体型は360度型並みに価格が高めとなる傾向にあり、特にリアカメラを組み合わせた場合は、価格がもっとも売れている前後2カメラ型と比べて2ランクほど高くなることは知っておくべきだろう。
現在、多くのクルマに装備されているドライブレコーダーだが、あおり運転、車上荒らしや車両盗難への対策として、買い替えを検討している人もいるのではないだろうか? そこで、カーAVに詳しい自動車ジャーナリストの会田肇氏に、ドライブレコーダー選びのポイントを解説してもらった。
文=会田肇