政権公約に記載は2党のみ したたかさ足りぬ経済政策 スタートアップは夢の応援ではない
◆日本は「技術」を強みに
――Q.日本のスタートアップがUAEから出資支援先として選ばれるために何をすべきでしょうか? 日本では大企業だけでなく、中小企業、スタートアップも、文化的に先進技術を受け継いできているというのが強みだと思います。UAEは非常にテクノロジーを重視しています。我々の戦略の中に第4次産業革命といったものがありまして、最近、AI大臣も任命されました。UAEがどれだけテクノロジーを強化しようとしているか、おわかりいただけると思います。伝統的な産業である農業、健康、教育についても、アグリテック、ヘルステック、エドテックという形でテクノロジーを絡めていこうとしています。ですから、日本のスタートアップでUAEに進出したいと思われる方は、やはり技術テクノロジーがコアになる。これがポイントになると思います。
◆スタートアップでの女性の活躍
――Q.アル・マズルーイ大臣も女性ですが、女性の活躍が国全体の経済に及ぼす影響についてどうみられていますか? 政治の分野でも多くの女性が活躍していますが、10万以上の中小企業やスタートアップも女性が率いています。UAEで女性は男性同様に大きく経済に貢献しています。UAEは非常に真剣に起業支援に取り組んでいますが、女性を対象にしたプログラムも多く立ち上げていて、例えば、ベンチャーキャピタルや投資家らに対してしっかりプレゼンテーションできるようにトレーニングしています。このように、国家レベルで、より女性に特化し、女性ならではの困難を克服するのを手助けすることもしています。
◆日本が「食っていける国」にする政策は
UAEで起業政策を担当するKalbat氏へのインタビューからは、国が一丸となって「スタートアップ育成」に力を入れる熱意と自信が伝わってきた。 日本では、四半世紀前に産業の空洞化が顕在化し、「日本は何で食っていくのか」と彷徨(さまよ)い始めたが、またこれから四半世紀たった時に、何で稼いでいるのだろうか?もし海外との競争で勝っているとすれば、そこには新しく生み出された技術、サービス、システムがあり、そのためにはスタートアップの力を活用することが重要だ。 人口減少で、国内市場が小さいままであることを考えれば、海外展開できる能力を持つスタートアップが育つ環境をつくらなければならない。国内外の大学や研究機関から最先端の技術が開発、発掘され、実証実験、実装化がスピーディーに進む…そうしたことを可能にするなど制度、税制優遇、機会の創出。選挙後、どのような政権になったとしても、「物価高の影響を受ける有権者の心をひきつけようとする耳障りの良い政策」だけでなく、「数年先の日本が『稼げる国』になり、それによって消費も経済も回るようになる政策」をしっかりと進めることを求めたい。