60歳代「一人暮らし世帯」の貯蓄額、中央値は300万円。老後は年金だけで暮らせるもの?
60歳代「一人暮らし世帯」の老後の収入はいくらを見込めるか
最後に重要になるのが、老後の収入において。働き続ける方も多いですが、公的年金の月額を知っておくことも大切です。 現在のシニア世代は毎月いくらぐらいの年金収入を得ているのか、12月に公表されたばかりの厚生労働省年金局の資料をもとに確認していきます。 ●シニア世代の老後の収入(平均月額) 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の受給額の平均月額は以下のとおりです。 ●厚生年金(老齢厚生年金)の受給額 〈全体〉平均年金月額:14万3973円 ・〈男性〉平均年金月額:16万3875円 ・〈女性〉平均年金月額:10万4878円 ●国民年金(老齢基礎年金)の受給額 〈全体〉平均年金月額:5万6316円 ・〈男性〉平均年金月額:5万8798円 ・〈女性〉平均年金月額:5万4426円 国民年金の平均月額は5万円台、厚生年金の平均月額は14万円台です。 厚生年金に加入しない自営業の方などは、国民年金基金やiDeCoなどで独自の対策が必要になるでしょう。 また厚生年金に関しても、必ず14万円が受け取れるというわけではありません。厚生年金は現役時代の年収や年金加入期間が年金額に大きく影響するため、男女差だけでなく個人差も見られます。 加入状況によっては、年金収入だけで長い老後生活を過ごすのは厳しいかもしれません。 ねんきん定期便やねんきんネットでご自身の年金見込額を把握し、貯蓄で不足分をカバーできるよう現役時代から準備をしておく必要があるといえるでしょう。
老後の準備は早めに
老後が間近に迫っている方も、まだまだ遠い先と思っている方もいるでしょう。今回は「ひとり暮らし世帯」に注目して平均額等を紹介しました。 一人で老後を迎える場合と二人で老後を迎える場合では、様々な違いがあります。それは年金などの収入面のみではなく介護などの問題もあります。 頼る人がいなければ自分自身で準備をしておく必要があります。 中々今すぐに準備できないという方は、少しずつでも良いので早くからスタートすることが大切です。 特に資産運用も兼ねてということであれば「時間」が大事になるでしょう。
参考資料
・金融広報中央委員「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」 ・厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
渡邉 珠紀