60歳代「一人暮らし世帯」の貯蓄額、中央値は300万円。老後は年金だけで暮らせるもの?
60歳代「一人暮らし世帯」の保有資産の配分を見る
では、現在の60歳代はどのような形で資産を保有しているのでしょうか。 貯蓄=預貯金のみを指す場合もありますが、広義では金融資産全般=貯蓄となり、先ほど確認した貯蓄額には投資信託や株式などの金融商品の残高も含みます。 60歳代「一人暮らし世帯」の貯蓄の内訳を見てみましょう。 ●60歳代「一人暮らし世帯」保有資産の配分(含、金融資産非保有世帯)】 ・預貯金:691万円(49.7%) ・金銭信託:11万円(0.8%) ・生命保険:121万円(8.7%) ・損害保険:11万円(0.8%) ・個人年金保険:104万円(7.5%) ・債券:70万円(5.0%) ・株式:181万円(13.0%) ・投資信託:155万円(11.2%) ・財形貯蓄:9万円(0.6%) ・その他:36万円(2.6%) すぐに引き出し可能な預貯金に充てているのは約半分。残りは株式、投資信託、生命保険、個人年金保険などに振分けられています。 貯金だけでなく、保険商品や投資商品へ分散しているのが見てとれます。 「銀行に預けているだけでお金が増えた」という時代を現役世代として過ごした60歳代ですが、それでも預貯金一択というわけではないようです。 「お宝保険」といって、現在には見られない高利率の終身保険や個人年金保険が存在していたことも、影響しているかもしれません。 一方で、60歳代「一人暮らし世帯」の中には負債を抱える方もいます。
60歳代「一人暮らし世帯」の借入額はいくら?
貯蓄額と借入額はセットで見ておく必要があります。 平均残高を見ておきましょう。 ●60歳代「一人暮らし世帯」の借入金有無 金融広報中央委員の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、60歳代「一人暮らし世帯」の借入金有無は以下のとおりです。 ・借入金なし:14.6% ・借入金あり: 85.4% ●60歳代「一人暮らし世帯」の借入金残高 では「借入金あり」と回答した人は、いくらぐらい借り入れているのでしょうか。 60歳代「一人暮らし世帯」の借入金残高は平均値259万円・中央値100万円でした。割合は以下のとおりです。 ・50万円未満:26.6% ・50~100万円未満:20.3% ・100~200万円未満:20.3% ・200~300万円未満:7.8% ・300~500万円未満:7.8% ・500~700万円未満:4.7% ・700~1000万円未満:1.6% ・1000~1500万円未満:4.7% ・1500~2000万円未満:0% ・2000万円以上:3.1% 上記によると、割合が最も多いのは50万円未満の26.6%です。多くの方は60歳代までに完済を目指しているようですね。 借入金がある人の約67%が、借入金残高200万円未満です。中でも懸念材料である「住宅ローン残高」にフォーカスをあててみましょう。 ●60歳代「一人暮らし世帯」の住宅ローン残高 先ほどの調査で借入金残高があると回答した方のうち、住宅ローン残高は平均146万円・中央値0円となりました。 ・50万円未満:0% ・50~100万円未満:0% ・100~200万円未満:3.1% ・200~300万円未満:0% ・300~500万円未満:3.1% ・500~700万円未満:1.6% ・700~1000万円未満:1.6% ・1000~1500万円未満:3.1% ・1500~2000万円未満:0% ・2000万円以上:3.1% ・0または無回答:84.4% ただし、1000万円以上の残高がある人も約6%います。 近年は30歳代や40歳代を迎えてから住宅購入する方も増えたため、60歳を超えても住宅ローン残高がある人は珍しくありません。 35年ローンを組んだのち、退職金で完済する予定の人もいるでしょう。 計画的に繰り上げ返済を行い、リタイヤ前に借入額はゼロにしておきたいものです。