平安ではない時代の到来が近づく…道長(柄本佑)の演説に大きな関心集まる【光る君へ】
興福寺の強訴騒動、柄本道長はどうするのか
そして道長が予見した乱世の、ある意味の第一歩と言えるのが、最後に出てきた物騒な僧侶・定澄が率いる興福寺の強訴騒動だ。この時代辺りから有力な寺院が、自衛のために武装集団「僧兵(悪僧とも)」を抱えるようになり、やがて信仰を盾に周囲の役人や朝廷に無理を押し通すようになってくる。この「自衛」の範囲を超えた僧兵たちを抑え込むため、貴族たちは「武士」の力に頼るように。まさに藤原隆家の考えたことが、現実になっていくわけだ。 定澄がなにを訴えて、京都まで半分僧兵状態の僧侶を引き連れてやってきたのかは、次回で詳しく描かれていくとは思うけど、国会議事堂前にソフトに武装した僧侶が何百人も押し寄せたという構図を想像すると、かなりの異常事態だったというのがわかるだろう。ここでの道長くんの政治判断が、この平安人たちの武装化をひとまずは押し止めるのか、あるいは加速させてしまうのか。『源氏物語』の行方も気になるが、この時代の日本の将来も注目してほしい。 ちなみにこの定澄さん、今回は座ったところしか出てこなかったので、どこまで忠実に再現しているかはわからなかったが、「彼の身の丈に合う着物がない」と言われるぐらいに、飛び抜けて身長の高い人だったそう。実は清少納言の『枕草子』にも、彼のノッポのエピソードが記されているぐらいなので、次回ではその立ち姿が見られるのか? これもまた、期待したいポイントだ。 ◇ 『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。9月6日放送の第34回「目覚め」では、まひろの作る物語が宮中で評判になっていく様と、道長がさまざまな事件の対応を迫られるなかで、ある行動に出るところが描かれていく。 文/吉永美和子