原氏、立浪氏は、なぜ野球殿堂入りができなかったのか?
公益財団法人、野球殿堂博物館は16日、東京ドーム内の野球殿堂博物館で平成29年度の野球殿堂入りを発表した。プレーヤー表彰では、元西武の捕手で現在千葉ロッテ監督の伊東勤氏(54)が選ばれ、監督、コーチの退任後6か月以上、引退後21年以上を経過した人を対象とするエキスパート部門では、中日、阪神、楽天の3球団で優勝監督となった星野仙一・楽天副会長(69)、元大洋ホエールズのエースで、カミソリと恐れられたシュートを武器に通算201勝を果たした平松政次氏(69)の2人が殿堂入りした。晴れやかな受賞式の一方で注目が集まったのは、元巨人の原辰徳氏(58)と、元中日の立浪和義氏(47)の落選だ。 原氏はエキスパート部門で初の候補者となったが、62票の次点に泣いた。またプレーヤー部門で、昨年度は伊東氏と1票違いの171票を集めていた立浪氏も、今回は217票で伊東氏に大きく水をあけられ、有効投票数の75パーセント以上とされている当選ラインの250票に33票も足りなかった。 原氏は2年前にも、プレーヤー表彰で243票を集めながら、わずか6票足らずに次点に終わった。プレーヤー表彰の資格を失い、今回は7度のリーグ優勝監督、3度の日本一監督としてエキスパート表彰にノミネートされたが、当選とはならなかった。 エキスパート表彰は、星野氏も今回が再資格を得て3年目での当選、平松氏も無効票が1つなければ落選というギリギリで滑り込んだほどの狭き門。殿堂入りの約30人、殿堂入り委員会の幹事、野球記者歴30年以上の野球記者の合計120人の資格者が5人連記の形で投票、有効投票数の75パーセント以上を必要とするので、決して簡単ではないのだが、WBCで世界一監督にもなっている原氏の落選には、なぜ? と疑問視する声が挙がっている。 平松氏も「原も候補に入ってきたので先に追い抜かれると思っていた」と殿堂入り後に語っていたほど。 すでに殿堂入りをしていてエキスパート表彰の投票権のある元巨人で、ヤクルト、西武で監督も務めた広岡達朗氏は、今回、原氏に投票したという。 「私は、5人を書かずに原一人だけの名前を書いた。11年で7度の優勝、3度の日本一、その功績もさることながら、巨人でクリーンナップを打ち、正力松太郎氏の意思を受けつぎ、真正面から野球に向かいあう巨人の正しい野球を継承してきた人物。殿堂入りするに値する実績を残して野球界に貢献をしてきた。 これまで殿堂入りしてきた人物には、なぜ、この人が? という人物もいるのに、入るべき原が当選しないのは、投票者の見識を疑う。星野、平松、伊東については、その実績がちゃんと認められたのだと思うが、投票資格を持つ人々には、尊い1票をちゃんと入れなさいよ、と言いたい」 今回、エキスパート部門で最大5人まで連記可能の連名の平均は、4.2票だった。 独自の価値観で1人しか書かない広岡氏のような人がいるので、より狭き門となっているのではあるが、原氏のように選ばれて当然の名前が、選出されるのに何年もかかるようなシステムは、どこかに問題があるのかもしれない。 また関係者の一部には、エキスパート表彰に投票のできる委員は、記者歴30年以上など、ベテランで年配の方が多いため、選考基準が以前のプレーヤー表彰だけしかなかった時代と、ごっちゃになっていて、まだ現役時代の成績などに強くこだわっているような人もいて、原氏の監督としての評価をクローズアップすることができていない可能性もあるという。