タイトルを狙える陣容。充足感を覚えるサンフレ“新6番”川辺駿が語気を強める「結果を出さなきゃいけないフェーズに入ってくると思う」
スキッベ体制4年目、名実ともにリーグをけん引するクラブに
1月9日、雪の中で始まった広島の2025シーズン。昨年の夏に欧州から広島へ戻ってきた川辺駿は、日本で過ごす4年ぶりのプレシーズンを自覚と責任をもってスタートした。 【画像】サポーターが創り出す圧巻の光景で選手を後押し!Jリーグコレオグラフィー特集! 「個人のパフォーマンスも結果も重要だと思うけど、とにかくタイトルが獲れるようにっていう思いだけです」 昨季はシーズン終盤に勝点を積み重ねられずリーグタイトルを逃した。その悔しさが川辺を突き動かす力になるだけでなく、レジェンドの青山敏弘が背負ってきた6番を付けることで、より一層チームの中心に立つ自覚を強めている。 「とても大事な背番号を付けて、自分にプレッシャーをかけることは良いことかなと思う。試合数が多いので、どれだけの試合に出られるかは分からないけど、連戦だとしても、相手がどこだとしても、しっかり準備して毎試合、良いプレーをしなきゃいけない。いろんな部分で見られる立場になると思うので、良い姿勢で取り組みたい」 チームを見渡せば、多少のインアウトがあった。「日本はシーズンが始動するまでにほぼ固まる。ヨーロッパはここからトータル10人ぐらいの出入りがあるんで、やっぱり日本は良いなと思いました」と笑う川辺は、「これから入ってくる選手がいることはあるのかなと思う。フォワードとかディフェンダーの枚数を考えても、ない話じゃないと思うけど、それは僕の仕事じゃない。まずはいる選手たちで練習と練習試合をやって、良い準備をしていきたい」と落ち着いて話した。 ゴンサロ・パシエンシアと契約解除となったCFと、住吉ジェラニレショーンが清水へ完全移籍したディフェンスラインは、プレシーズンの状況によって補強に動く必要が出てくるかもしれないが、十二分にタイトルを狙えるチーム編成と言っていいだろう。 オフに去就が注目された実力者のジャーメイン良と田中聡が広島を選んでくれた。昨季に台頭した松本泰志は浦和へ移籍したが、そのポジションには井上潮音を獲得し、サイドにも獲得競争を制して菅大輝が加入。大卒ルーキーの中村草太とヒル袈依廉もチーム力を押し上げてくれる逸材だ。 川辺もこのオフにクラブが力のある選手の獲得に成功したことへの充足感を覚えていた。 「第一候補って言えるような選手がこれだけ来てくれることは、これまでなかなかなかったことだと思うんで、クラブの価値がすごく上がっている段階にあると思う。広島でプレーしたいっていう思いで来てくれてると思うし、このクラブを魅力に思って来てくれる選手がいることは、すごく良いことだと思う」 嬉しそうに話した後、川辺は少し語気を強めて続けた。 「だからこそ、現場の選手と監督を含めたスタッフには結果が求められてくる。クラブとして結果を出さなきゃいけないフェーズに入ってくると思うんで、今年はより結果が重要になると思います」 昨年にエディオンピースウイング広島が開場したことが大きな契機となり、広島はクラブとして新たなフェーズに入っている。そのことを実感するオフを過ごして迎えるスキッベ体制4年目の今季は、タイトルを獲得して名実ともにリーグをけん引するクラブになっていきたいシーズンだ。 その成否のカギは、これまで6番を背負ってチームの中心にいた青山敏弘が握っていたように、6番を継承する川辺が握ることになる。 取材・文●寺田弘幸