厳冬のウクライナへ小型発電機を発送へ 「電力不足が長期化、人命救う」
ロシアによるウクライナ侵攻で厳冬期の電力不足が深刻化する中、奈良県橿原市が市民らから寄せられた小型発電機11台を現地に届けることになった。現地では先月下旬以降、発電所などへのミサイル攻撃が激化し、100万戸以上が停電したといわれる。3日に市役所で目録贈呈式が行われ、目録を受け取った駐日ウクライナ大使館担当者は「地方を中心に電力不足が長期化し、発電機は貴重な人命を救う」と謝意を述べた。 【写真】ウクライナに届けられる小型発電機 橿原市は東京五輪・パラリンピックでウクライナのホストタウンになった縁から交流が深まり、侵攻後は避難民の受け入れ支援などを続けている。発電機については9月下旬に同大使館から要請があり、市は家庭で使えるような小型(1~5キロワット)で不用となったものの提供を市内外の個人や事業所に呼びかけ、新品を含む11台が寄せられた。 ロシア国境に近いウクライナ北東部の都市、トロスティヤネツに届けられる予定で、今月中旬に船便で発送される。同都市は、2022年2月の侵攻間もない頃から激しい攻撃にさらされているという。 贈呈式で同大使館特命全権大使代理のナディア・ヴォズディガン一等書記官は現地の状況について「日本政府などの支援もあって大都市では何とか電力供給が続いているが、小さい町ではまだまだ十分でない」とし、「他の自治体にもお願いする中、橿原市が真っ先に手を挙げてくれた」と話した。 贈呈式ではセルギー・コルスンスキー駐日大使のメッセージも読み上げられた。「ロシアは、エネルギー分野を主な対象にこの数カ月の間に何千回も攻撃を行い、電気や水、暖房の供給が停止する事態となった」と訴え、さらなる支援を求めた。 亀田忠彦市長は「東京五輪・パラリンピック以来のご縁があり、発電機によって少しでも極寒の季節を乗り越える一助になってほしい」と話した。