「18トリソミーのわが子を受け入れて育てていく」“のんちゃんの笑顔”がくれる家族の前向きな選択【低出生体重児・18トリソミー体験談】
体重1500~1900gの小さなウエアには、ママの実体験が生かされている!
そうして、望ちゃんのお世話に慣れてきたころ、ふとスマホの中の写真を見返していた中須賀さんは、どれもブカブカな服に埋もれている姿しかないことに気づきます。 「18トリソミーという診断を受けてからは、『無事に産めるだろうか』という不安がつきまとい、産前にウエアの準備をすることができずにいました。退院が決まってから、あわててサイズ表記45㎝の短肌着、コンピ肌着、ロンパースを買いましたが、どれも1780gのわが子にはブカブカ。『小さな体に合う服を着せてあげたかったなあ。私と同じ思いをしているママたちのためにも!』と低出生体重児専用のブランド『LIKO』の立ち上げを決意したのです」(中須賀さん) ブランド立ち上げにあたって、まず最初に中須賀さんがしたのは「LIKO」のロゴを作ること。次にウエアのデザインにとりかかって、居住地の県内の縫製工場にサンプルの縫製を依頼しました。 「『低出生体重児向けのウエアを作りたいんですけれど』と、何件かの縫製工場さんにコンタクトをとったところ、私のこれまでの経緯に共感し、引き受けてくださるところがすぐに見つかったんです!ただ、私が作りたい体重1500~1900gというサイズは折り紙のように小さくて、世の中には出回っていません。パタンナーさんと一緒に一からパターン(型紙)を作り上げるのに苦労しました」(中須賀さん) 望ちゃんの手足のサイズや、抱っこしたときの感覚、「あのころは腕のあたりがブカブカだった」などの実体験をもとに、「あと何㎝つまんで小さめに」と、試行錯誤を繰り返しながらパターンを仕上げていったのです。 「2000g以下の子たちがブカブカのウエアを着ると、ウエアの中で体が泳いでいる状態なんですよ。とくに着物のようにヒモを結んで着る短肌着や長肌着ははだけてしまいがち。そこで、ウエアの中で体が泳いだり、はだけたりしないように、すそのほうでスナップボタンをとめるデザインを思いつきました。これが「LIKO」のウエアのいちばんのこだわりポイントです」(中須賀さん) 最近では、子ども服の展示会にも出品するようになりました。「低出生体重児のウエアは企業として展開するのが難しい部門。でも、求めている人たちが絶対にいますよ!」と、子ども服ショップのスタッフ、アパレル関係者から寄せられる応援を励みにしているそう。そして今後は死産した赤ちゃんのためのセレモニードレスなども制作していこうと考えているとのこと。これは、親しいお友だちが死産を経験したことがきっかけです。 「レースを使って、かわいいドレスを作りたいなと思っています。サイズ展開のためのデータを集めて、また、一からパターン作りをしなくてはいけませんね」(中須賀さん)