沖縄・玉城県政に厳しい審判 県議選で知事支持派が過半数割れ、今後の政策への影響不可避
米軍普天間飛行場(沖縄県野湾市)の名護市辺野古移設を巡り国と県の対立が続く中、16日投開票された県議選では自民や公明両党など玉城デニー知事を支持しない勢力の議席が過半数に達した。玉城知事の政策に有権者が厳しい審判を下した形で、県政の分水嶺となりそうだ。 【写真】沖縄県の玉城デニー知事とともに支持を訴えた小池晃氏、辻元清美氏ら国政野党の幹部 「オッケー。完勝だ」。那覇市の自民党沖縄県連に設置された開票センターは16日夜、候補者の当確が速報されるたびに大きな歓声に包まれた。 辺野古移設を巡る法廷闘争では、行政の長でありながら司法判断にあらがい、政府との対立が深まっていた。辺野古反対のワンイシュー(単一論点)で国との対決姿勢を強める玉城県政に否定的な県民も少なくない。 玉城知事を支える共産党などのオール沖縄会議の関係者は「知事と議会でねじれたら玉城県政は大変だ」と危機感を募らせる。 一方、インフラ整備や経済振興は進まず、1人当たりの県民所得は全国最下位。子供の貧困の問題も依然深刻で、県民の生活に直結する重点課題は多岐にわたる。選挙結果は、こうした玉城県政に対する評価といえる。 知事支持派は選挙戦で自民党派閥のパーティー収入不記載事件を批判。南西地域の防衛体制強化を危惧する主張を展開し知事を後押ししたが、浸透しなかった。 これに対し、自民党県連は、うるま市のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を新設する計画を巡り、防衛相に土地取得を断念するよう要請。県議選での争点化を避ける狙いがあったとみられる。 不支持派の候補は、物価高騰対策や経済政策など政府とのパイプを生かした政策実現を強調し、支持拡大につなげた。 選挙結果は、基地問題の情報収集などに当たってきた県の米ワシントン駐在や独自の〝外交〟を進める「地域外交室」など県の政策にも大きな影響を及ぼしそうだ。(大竹直樹)