<解説>回顧展「描く人、安彦良和」 貴重な「ガンダム」資料続々 アムロとシャアの決闘 ガンダム頭部の原案ラフも
アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインを担当したことで知られ、マンガ家などとして活躍する安彦良和さんの回顧展「描く人、安彦良和」が6月8日から兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開催されている。幼少期から現在に至るまでの安彦さんの創作活動の軌跡をたどる回顧展で、約1400点の貴重な資料を展示する。膨大な展示数で、一度に全てを見ることはできないかもしれないほどだ。どれもがアニメ史、マンガ史に残る貴重な資料ではあるが、「ガンダム」シリーズの展示物について解説する。 【写真特集】貴重なガンダム資料がお披露目! 安彦良和回顧展 写真を一挙公開
◇ガンダムの口元のデザインのアイデア
1979~80年に放送された「機動戦士ガンダム」が伝説の作品であることは説明不要だろう。安彦さんはアニメーションディレクターとして作画の中心を担い、キャラクターデザインを担当した。MS(モビルスーツ)のデザインは大河原邦男さんが担当したが、展示されている資料の「ガンダム 頭部 原案ラフ」を見ると、ガンダムの口元のデザインなどに安彦さんのアイデアが採用されたことが分かる。
劇場版「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」のアムロとシャアの決闘シーンの原画も見どころの一つだ。安彦さんはテレビシリーズの制作中、入院してしまい、最終10話の制作に参加できなかった。劇場版では、心残りだった終盤の作画に注力したといい、アムロとシャアの決闘シーンもその一つだ。今も語り継がれる名シーンということもあり、じっくりと見てほしい。
劇場版のポスターラフ案が初公開されたほか、サントラのレコードのジャケット用イラスト原画なども並び、いつまでも見ていられるが、「機動戦士ガンダム」は展示の一部でしかない。
◇「Z」のパズル! 「F91」も
1985~86年放送のテレビアニメ「機動戦士Zガンダム」にはキャラクターデザインとして参加した。「Z」の制作にあたり、富野由悠季監督は若手の育成を目指し、安彦さん、大河原さんが参加したものの、若手を積極的に起用した。カミーユ・ビダン、クワトロ・バジーナ、パプテマス・シロッコ、ハマーン・カーンなどの設定ラフに加え、変わり種では1985年発売のジグソーパズル、1986年のカレンダーのイラスト原画も展示されている。