迷惑メール、フィッシング詐欺…「実はこれが一番効果的」IT専門家が認める意外な解決方法
メールソフトによって「迷惑メール」の排除レベルに違いが……?
「米国のグーグルとマイクロソフトの2社は迷惑メール対策を重要課題としており、世界中の敵対者と戦っています。そもそも他社とは売り上げの規模が違います」 “自己責任での使用”が大前提…Temuって大丈夫? 専門家に聞くシェア急拡大中の通販サイトの評判 こう話すのは、サイバーセキュリティ対策を支援するサイバーリサーチ(東京都杉並区)の藤田有悟代表。グーグルは「Gメール」、マイクロソフトは「アウトルック(旧ホットメール)」のメールサービスを提供している。 藤田さんによると、そのサーバーを運営する事業者により、迷惑メールの排除に差が出ている可能性があるという。確かに、2社以上のアドレスをもっている場合、利用するメールソフトにより、迷惑メールの多さ、少なさを感じることはないだろうか。 ◆約4割が迷惑メール…「フィッシング詐欺」対策の基本は、迷惑メールの排除 迷惑メール対策推進協議会の『迷惑メール白書2022-2024』によると、迷惑メールの確たる定義はないが、一般的に「迷惑」で、社会的に問題となっているもの。受信者の意思に反し、拒否しても引き続き送られ、生活や業務に支障を及ぼす頻度になるとしている。 迷惑メールには、広告・宣伝のほか、架空請求などの詐欺・恐喝メールもある。特に、金融機関などの有名企業を装って電子メールを送り、口座番号やパスワード、クレジットカード情報などを詐取するものを「フィッシング詐欺」とか「フィッシングメール」と呼んでいる。 フィッシング詐欺などの迷惑メールを避けるため、利用者が注意するのは当然だが、電子メールサービスを運営する側でもチェックして、排除しているようだ。 『迷惑メール白書』によれば、’01年ごろから迷惑メールが社会問題となった。 国内着の電子メールのうち、迷惑メールの占める割合は昨年9月に約37%で、このうちかなりの部分は電気通信事業者のフィルターなどで対応され、利用者に届く割合はそれより低いとみられるとしている。 白書は、迷惑メールが巧妙で悪質化していると指摘。迷惑メールには「大量送信型」と「標準型」があるという。 「大量送信型」は、名簿業者からメールアドレスのリストを購入したり、ランダムにメルアドを作成して無差別送信するもの、「おとりサイト」を使ってメルアドを登録させるほか、ブログなどネット上でメルアドを収集する。「標準型」は、何らかの方法で入手した特定の組織や個人の情報をもとに上司や取引先を装うほか、ウイルスを含んだファイルを添付するなどで、情報を詐取する。 ◆事業者の処理能力に左右される「迷惑メール対策」 前出の藤田さんによれば、米国のグーグルとマイクロソフトの2社ともビジネス向けに「ワークスペース」を提供し、ネット上で仕事などの作業をしやすくしている。ワークスペースにはビデオ通話やチャット、予定管理などの機能もあり、電子メールのサービスはその機能の一つで、有料サービスになるとデータ保存量が増大するなど利便性も増す。両社はまさに電子メールサービスの提供などを本業とし、世界中で多くの利用者がいる。迷惑メール対策は、本業のなかでも重要な業務となっている。 一方、日本にも電子メールやSMSのサービスを提供するIT(情報技術)事業者や携帯電話会社はある。 「彼らは別に本業があり、グーグルやマイクロソフトほどの迷惑メール対策のレベルには達していないとみられています」(藤田さん) サイバーセキュリティ対策を支援するトライコーダ(東京都中央区)の上野宣代表も 「Gメールなどは怪しいメールを検知する仕組みにかなり力を入れています。迷惑メールや攻撃者からの不審なメールの被害に遭わないようにするためです」 と指摘する。一方、世界トップ水準の事業者に比べて、日本の事業者は 「不審なメールに対する処理能力は高くないように感じます」(上野さん) ともいう。メールサービスを提供する事業者は、どのような迷惑メール対策をしているのか。攻撃者を利することにもなり、公表されていない。