ノスタルジーと驚きが満載!廃校を有効活用して生まれた「むろと廃校水族館」の楽しみ方
「水族館の運営の裏では町おこしをするクリエイティブ集団」
地域を盛り上げる企画を生み出すこの「むろと廃校水族館」は、高知県室戸市の東側にある室戸岬町の旧室戸市立椎名小学校を利用して2018年4月26日に開館した。 人が集まる場所の象徴ともいえる小学校は、イベントの打合せなどで関係者が集まるときにもとても都合の良い場所でもある。 開館当初から多くの来館者に恵まれ、また地域の人たちにも愛されているこの水族館。他県からの旅行者を水族館だけではなく、近年減り続けている室戸市内の飲食店の活性化につなげられないかと始まったのが『サバらしい日々』というイベントである。 このイベントのもうひとつの魅力は、「むろと廃校水族館」と参加する飲食店、観光施設で使えるチケットのセット販売である。 そのチケットセットを購入するともらえるのは、むろと廃校水族館スタッフがデザインした「手ぬぐい」や「Tシャツ」「プルプル活き良く震えるサバのぬいぐるみ」である。これらを目当てに他県からこの時期を楽しみに訪れる観光客も多い。 特に「ぷるぷる震えるサバのぬいぐるみ」は人気が高いようだ。このイベント期間中でなくても館内ではサバ、ブリ、シュモクザメのぬいぐるみなどが当たる、くじ引きを楽しむことができる。 多くの人は食材として認識しているサバやブリを、ぬいぐるみで手にすることがとてもシュールで可愛いらしい。職場のデスクなどに飾れば魚好きであることをアピールできるのではないだろうか。
「水族館とは言うもののその始まりはウミガメ研究」
実はこの「むろと廃校水族館」を運営しているのは、「日本ウミガメ協議会」というウミガメの調査・研究を行い、その結果を分析してウミガメの保全活動を行っている団体なのである。 同協会は、2001年から室戸市を拠点として定置網漁の網にかかるウミガメの生態を調査研究しており、2003年には常駐の調査員を室戸市に置き、漁師の方々の協力を得て調査研究を行っている。また、これまで築き上げてきた漁師の方々との絆が、いまの水族館の運営をも支えている。 この水族館の始まりは室戸市が旧室戸市立椎名小学校の活用事業者を公募していたことが発端となる。常日ごろから調査研究を行っていく中で一時的にウミガメたちを保護観察する場所を探していた「日本ウミガメ協議会」がその公募に手をあげたことがきっかけで「むろと廃校水族館」が誕生することとなったのだ。 ウミガメの研究拠点としてだけではなく、長年にわたり調査研究でお世話になっている室戸の海の生態を知ってもらう場としての役割を担った施設なのだ。 後編では、この廃校を利用した展示の魅力をさらに詳しく解説していく。 【取材先】 ・むろと廃校水族館 〒781‐7101 高知県室戸市室戸岬町533‐2 TEL:0887‐22‐0815 Twitter (LINK) ・日本ウミガメ協議会 〒573-0163 大阪府枚方市長尾元町5-17-18 マルタビル302号室 TEL:072-864-0335 (HP) 【写真/記事】 ・動物園写真家 / 動物園ライター 阪田真一
@DIME編集部