【朝日杯FS】最多勝はロゴタイプ、リオンディーズらを導いたM.デムーロ騎手 2歳マイル王決定戦の「記録」を振り返る
単勝配当額の2位は34.5倍のロゴタイプ
1番人気ではグラスワンダーが1.3倍、フジキセキやミホノブルボンが1.5倍で勝利している。一方で、まだ力関係が明らかになっていない時期だけに、後々になって振り返ると、意外にも人気薄で勝利している名馬もいる。 単勝の高配当ランキングでは、5位は2010年14.6倍のグランプリボス、4位は2020年17.5倍のグレナディアガーズ、3位は2002年21.3倍のエイシンチャンプ、2位は2012年34.5倍のロゴタイプ、1位は2000年40.5倍のメジロベイリーとなっている。 5位のグランプリボスは翌年にNHKマイルCを勝利し、その1か月後にはイギリスに遠征するなど早期から活躍した。古馬になってからも4、5歳で重賞を勝利。6歳の安田記念では16番人気で2着と、長くマイル路線を盛り上げた。 4位のグレナディアガーズは短距離~マイル路線で活躍。2つ目のGⅠタイトルは獲れなかったものの、定量GⅡの阪神Cで1、2、2着と2021年から3年連続で連対した。 3位のエイシンチャンプは年明けから弥生賞1着、皐月賞3着とクラシック戦線でも活躍。6歳になって地方に移籍してからも、大井記念を制し、JBCクラシックでも6着と力を見せ続けた。 1位のメジロベイリーはその後、脚部不安を発症して1年以上の休養。そのため、現役時代は思うような活躍が果たせなかった。ただ、自身が母父馬となるカフジオクタゴンが2022年レパードSで勝利するなど、独特な存在感を示している。 ここで大きく取り上げたいのは2位となるロゴタイプ。デビュー戦は1200m戦を勝利したが、続く函館2歳Sでは16頭中14番人気という低評価を受ける。そこで4着と善戦後は距離を延ばしていき、デビュー4戦目では1800mの札幌2歳Sに出走して8番人気4着と重賞で再び健闘。次走のベゴニア賞ではM.デムーロ騎手を迎え、初のマイル戦を勝利。朝日杯FSへと向かった。 朝日杯FS当日は札幌2歳Sの勝ち馬コディーノが1.3倍の1番人気に支持されていて、ロゴタイプは7番人気だった。レースは先頭集団がごった返し、逃げ馬が何度も入れ替わる展開に。前半600m33.9、同1000m57.3という速い流れを、ロゴタイプは先行集団のなかでレースを進める。直線では、ほかの先行馬たちが脱落していくなか先頭に立つと、中団から差してきたコディーノの追撃をしのいで押し切って勝利した。 3歳初戦のスプリングSは1番人気で快勝すると、さらに皐月賞も勝利。距離が長かった日本ダービーこそ敗れはしたが、5着と善戦した。以降、中山金杯や中山記念など中山の重賞で複数回、馬券圏内に食い込んでいたが、しばらく勝ち星からは遠のいていた。 復活は6歳時の安田記念。8番人気と伏兵扱いだったが、レースではハナを主張すると、モーリス、リアルスティール、イスラボニータなどの強豪をおさえて逃げ切って3年以上ぶりの勝利。翌年の安田記念でも8番人気2着と好走し、マイル戦での強さを最後まで見せた。 今年は人気馬、あるいは人気薄の馬がどのような走りを見せるのか。平穏か、それとも波乱決着か。 ライタープロフィール 緒方きしん 競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
緒方きしん