EU、ロシアの凍結資産でウクライナ軍事支援…ウクライナ加盟交渉にも着手
欧州連合(EU)が来月からロシアの凍結資産で発生した収益をウクライナの武器購入など軍事目的に向けた支援金として使うことにした。EUとウクライナはEU加盟交渉にも正式に着手した。 EUのボレル外務・安全保障政策上級代表は24日にルクセンブルクで開かれた外相会議に参加した後の記者会見で、凍結資産収益の1次執行分14億ユーロ(約2396億円)を来月中にウクライナ軍の弾薬と対空防衛システム購入費用に使う方針を明らかにした。 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、以降EUと主要7カ国(G7)は2800億ドル(約44兆6583億円)に達するロシアの資産に対し収益と処分を禁じる凍結措置を下した。このうち1900億ユーロがブリュッセルの国際預託決済機関ユーロクリアに保管され、年間30億ユーロ規模の運用収益を出した。 EUではこれを「超過利潤」とみてウクライナ再建に使う案を議論したが、2月に欧州委員会のフォンデアライエン委員長がウクライナの武器購入に使おうと提案してから軍事目的用に支出する案が急流に乗った。 これに対しEUのウクライナ支援に向けた財政負担も多少なりとも減らせるだろうという見通しが出ている。EUはロシアのウクライナ侵攻から現在までに280億ユーロ相当の軍事支援をしたのに続き、追加で210億ユーロ相当の軍事支援をする予定だ。 EUは25日にウクライナとモルドバのEU加盟に対する正式交渉に入ったとも明らかにした。ロシア侵攻後に隣接国であるウクライナとモルドバはともにEU加盟を申請した。 ただし実際に加盟するには相当な時間がかかると予想される。直近では2013年に加盟したクロアチアは加盟申請から承認まで8年かかった。トルコは1987年に加盟を申請し2005年に交渉を開始したが、トルコ内部の人権弾圧などを理由に交渉が一時中断されている。モンテネグロもやはりEUの要求条件をクリアできず2012年から13年にわたり交渉中だ。