「まさかの下ネタも!?」 『りぼん』伝説のギャグ漫画家・岡田あーみん作品に登場した「斬新すぎるサブキャラ」たち
■主役が3人から4人になった!?『こいつら100%伝説』ターミネーター
岡田さんが手がけた2作品目のギャグ漫画は、1989年から連載された忍者の弟子3人の活躍を描いた『こいつら100%伝説』である。 本作は忍者道場の老師匠のもとで技を磨く忍者の極丸・危脳丸・満丸の3人が、美しい姫・白鳥姫子を守りながらも彼女を奪い合うハチャメチャコメディだ。 本作は途中まで弟子忍者の3人が主役となり、師匠と喧嘩したり、姫子を取り合ったりとやりたい放題に展開してきた。 しかし第10話にて、未来からやってきた無法者退治専門のサイボーグ・“ターミネーター”が登場して以降、主役は実質3人から4人になった。 ターミネーターのビジュアルは、さいとう・たかをさんが描いた『ゴルゴ13』のデューク・東郷のようだ。未来から3人の元にやってきたターミネーターは、姫子に一目惚れをして未来に連れ去ってしまう。 それを追いかけてきた3人に対し、ターミネーターは指からミサイルを発射。“未来人は指が飛び道具になるのか”と驚愕する危脳丸。極丸は、“あいつと同じ指の奴を連れてきたぞ”といって、なんと小指のない極道さんを連れてくる。それに対し「そのギャグあぶな~~い」と、全力キックでツッコミをする編集長……。このように、ターミネーターの登場エピソードは、最初からあーみんワールド全開であった。 その後、3人の弟子たちと同じように、忍者として学ぶことを決めたターミネーター。彼が加わったことで、物語はさらに過激に展開していく。危ないギャグがどんどん加わりつつ、ストーリー終盤はターミネーターの活躍によりちょっとハートフルな展開になるのにも注目だ。
■『りぼん』に“アレ”を登場させた衝撃的なキャラ『ルナティック雑技団』黒川春明
1992年から連載が始まった『ルナティック雑技団』は、岡田さんが手がけた最後の作品である。 物語は学校の人気者である天湖森夜の家に下宿することになった少女・星野夢実を中心に展開していく。森夜のことが好きな夢実だが、息子・森夜を溺愛する母・ゆり子や、同じく森夜を愛する金持ちの成金薫子に邪魔をされるドタバタギャグ漫画だ。 本作は岡田さんの作品のなかでは初めてのラブコメディであり、夢実と森夜との関係からも目が離せない。そして前述した過去2作品よりも、かなり大人向けのギャグが盛り込まれているのも特徴的だ。それを展開させたのが、薫子のもとで働く黒執事・黒川春明である。 黒川は一見すると紳士的な執事だ。しかし「私は今でも妻と別れたことを後悔しています」と真面目なセリフを言ったかと思えば、その後「私が両手と股間を広げて待っています」など、口にする発言はたいてい下ネタを含む“ボケ”なのである。 なかでも衝撃的だったのが「第19回 高原の出来事」でのこと。なんと黒川はダッチワイフを押し倒し、そして主人である薫子に対し「男優さんはこう…女性の服を獣のように なおかつインテリジェンスにぬがせていってください」と、とてつもなく大人向けのボケをかましているのだ。これは当時の『りぼん』では、なかなか考えられないことであった。 黒川はその後もここぞというシリアスなシーンに登場しては、容赦なく下ネタを含むボケを連発している。黒川さえいなければ真面目な恋愛ストーリーになりそうなのに……そうはさせないのが、岡田さんの作品なのである。 岡田あーみんさんの作品には、今回紹介したキャラ以外にも多くの魅力的なキャラがたくさん登場する。いずれのキャラもここぞという重要場面に登場しては良い雰囲気をぶち壊したり、真面目な世界観を一気にギャグ漫画への世界へといざなうのだ。これは岡田さんならではの独自のセンスであろう。 現在、岡田さんの作品は『ルナティック雑技団』で止まっている。いつの日かまた新たな作品と、強烈なキャラクターを生み出してくれることを切に期待してしまう。
でかいペンギン