ロシア軍の原潜やフリゲート艦など4隻がキューバ入港、米国に軍事力を誇示する狙いか
ロシア海軍のフリゲート艦と原子力潜水艦が12日、キューバのハバナ港に入港した。この入港について米・キューバ両政府とも脅威ではないとしているが、ウクライナ戦争を巡る緊張が高まる中、ロシアによる軍事力の誇示が狙いだと広く受け止められている。 「ロシアの軍艦によるキューバ訪問には、米国の影響圏でもロシアが米国に対抗できるということをバイデン大統領に示したいという、プーチン大統領の思惑がある」 こう話すのはアメリカン大学のウィリアム・レオグランド教授だ。 アメリカン大学 ウィリアム・レオグランド教授 「この地政学的な連携は冷戦を彷彿とさせるが、第1次冷戦と異なり、キューバ人がモスクワに引き寄せられるのはイデオロギー的な親近感からではなく、経済的必要性によるものだ。キューバは絶望的な経済状況にあり、ソ連時代と同様にロシアはキューバに支援提供の意思を示す唯一の国だ」 キューバでは食料、医薬品、燃料などあらゆるものが不足し、街頭では不満が高まるなど、ここ数十年で最悪の社会的・経済的危機に陥っている。 ロシア国防省によると、ロシアの艦船4隻は大西洋で「高精度ミサイル兵器」の訓練を行った後、12日に共産主義政権下のキューバに入港した。 キューバ外務省は、艦隊には核兵器は搭載されていないと述べた。また米国当局者も同様の見方を示した。 艦隊は地元住民、漁師、警察官らに見守られキューバに到着した。 住民 「こんなに近くで、これほど大きな船を見たことがなかったので、少し感動した」 キューバ政府は先週、今回の訪問は友好国の海軍艦艇による通常の慣行だとの見解を示した。米政府は、ロシア艦艇がフロリダ沖を航行するにあたり、監視を強めている。サリバン米大統領補佐官(安全保障問題担当)は12日、記者団に対し、こうした演習は日常的なものだとの見方を示した。 ロシア艦艇は6月17日までハバナに留まる予定だ。