FRB、来年利下げ見通し2回に半減 議長「今後は慎重に」
Howard Schneider Ann Saphir [ワシントン 18日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は17─18日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.25─4.50%とした。 同時に公表した金利・経済見通しでは2025年の利下げ回数が2回と想定され、9月の前回見通しの4回から半減。今後の利下げペースが鈍化する可能性が示唆された。 パウエル議長はFOMC後の記者会見で、追加利下げはインフレ抑制のさらなる進展次第だとし、FRB当局者がトランプ次期政権下で経済が大きく変化する可能性を考慮し始めていることを示唆した。 パウエル氏が今後は慎重に進む必要があると繰り返し明言したことを受けて米国株は急落し、市場が織り込む来年の利下げ幅は縮小した。 同氏は「われわれは良い状況にあるが、ここからは新たな段階で、さらなる利下げには慎重になるだろう」と述べた。 今回のFOMCを巡っては、FRBが来年の利下げ回数の想定を減らす「タカ派的」利下げが予想されていたが、パウエル氏が会見を終えるころには、市場が織り込む来年の利下げ幅はわずか0.25%ポイントとなった。 同氏は今回の利下げについて「より微妙な判断」だったと指摘した。クリーブランド地区連銀のハマック総裁は利下げに反対票を投じ、据え置きが望ましいとの考えを示した。 FRBはFOMC声明で「経済活動は引き続き堅調なペースで拡大している」とし、「失業率は上昇したが、依然として低い。インフレ率は委員会の2%のインフレ目標に向けて進展したが、依然やや高止まりしている」とした。 同時に「FF金利の目標誘導レンジに対する追加調整の程度と時期を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」という新たな文言を追加。1月28─29日の次回会合での利下げ一時停止に地合いを整えた可能性がある。 最新の経済・金利見通しで25年に2回の0.25%ポイント刻みの利下げが予想されたことで、9月の前回見通しと比べると想定される利下げ幅は0.5%ポイント縮小。トランプ次期政権1年目となる25年のインフレ率予想は2.5%と、前回の2.1%から上方修正され、FRBが目標とする2%を大きく上回った。 インフレ率は27年まで目標の2%に低下すると予想されていない。政策金利の着地点は3.1%と想定され、前回見通しの2.9%から上昇。到達時期は27年と予想した。FRB当局者が推定する長期的中立金利の水準も3%に上昇した。 パウエル議長は労働市場について、極めて緩やかで秩序立った形で軟化していると指摘。FRBが担う最大雇用と物価安定という二重の責務を巡るリスクはほぼ均衡しているとの見方を示した。 同時に「一段の利下げを検討する際、インフレの進展を注視する」とし、「今後はインフレをさらに抑制しながら、堅調な労働市場を維持するという進展を見たい」と述べた。 ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの債券・流動性ソリューションのグローバル共同責任者兼共同最高投資責任者、ホイットニー・ワトソン氏は「FRBは3回連続の利下げを行うことで24年を終えることを選択したが、来年の利下げペースは緩やかになると予想される」とし、「FRBは1月の会合で金利を据え置き、3月に利下げを再開する」との見方を示した。 FRBは今回、トランプ氏の大統領選勝利後初めて金利・経済見通しを公表した。当局者はこれまで、実施されるか不透明な選挙公約に基づき金融政策を策定することはできないとしてきた。ただ、パウエル氏によると、一部当局者は次期政権で予想される政策の影響について「非常に暫定的な推定」を考慮に入れたという。