実質増税が不意打ち、英企業は投資や採用削減へ=CBI
David Milliken [ロンドン 25日 ロイター] - 英国産業連盟(CBI)が25日、年次総会に先立って公表した加盟企業アンケート調査によると、経営者はリーブス財務相が先月の財政方針演説で打ち出した250億ポンドの実質増税(国民保険料の雇用者負担率引き上げ)について想定外と受け止め、投資や研修、採用などの削減で対応する構えだ。 調査では実質増税を受け、全体の61%が英国は投資先として魅力が低下したと答え、半数近くは人員削減ないし賃上げ幅の縮小に動くと明らかにした。 CBIのレイン・ニュートンスミス最高経営責任者(CEO)は「国民保険料率引き上げと企業の拠出金支払い開始基準引き下げは寝耳に水だった」と語り、最低賃金引き上げなども加わって企業には多大な負荷がかかると指摘した。 リーブス氏は公共サービス予算の拡大や財政赤字穴埋めの財源として総額400億ポンドの増税計画を提示し、このうち国民保険料の雇用者負担率引き上げで250億ポンドを賄う方針だ。 ニュートンスミス氏は「このような企業だけを狙い撃ちにした増税は二度と行うべきではない」と訴えた。 CBI加盟企業のうち、国民保険料負担率と最低賃金の大幅な引き上げで特に打撃を受けるのは、低賃金のパートタイム従業員を多数雇用する大手小売りや接客サービス。 英成長てこ入れの面でニュートンスミス氏は、労働党政権の下で経済がより安定するだけでは不十分で、企業利益が目減りすれば事業展開力や投資意欲に直接痛手を与えると主張。「利益は悪でも汚れた言葉でもない」と述べた。