横浜が決勝進出 延長十回、奇策内野5人シフトで成功 1997年以来の優勝へ王手
「明治神宮野球大会・高校の部・準決勝、横浜3-1東洋大姫路」(23日、神宮球場) 高校の部・準決勝2試合、大学の部1試合が行われ、高校の部では横浜が延長十一回タイブレークの末に東洋大姫路を下した。延長十回に内野5人シフトを敷く奇策を講じサヨナラ負けの危機を回避。先発したエース・奥村頼人投手(2年)が計7回を無失点と好投し、松坂大輔を擁した1997年以来の優勝へ王手をかけた。初出場の広島商も敦賀気比との延長十一回タイブレークの激闘を制し決勝進出。大学の部では環太平洋大が早大にサヨナラ勝利した。 今大会最多1万5000人が詰めかけた神宮球場がざわめいた。1-1の延長十回裏タイブレーク。1死満塁とサヨナラの危機を招いた横浜が奇策を講じた。 左翼手・大石に交代が告げられると、代わった林田が二塁ベース後方に位置。内野全員は前進守備について「内野5人シフト」を敷いた。左翼は“ガラ空き”の状態。それでも横浜ナインに不安の色は一切なかった。 昨年も試合で類似のケースを経験していたという奥村は「驚きはなかったです」と泰然。相手エース・阪下を144キロ直球で空振り三振に仕留めた。次打者は通常の守備隊形に戻して二ゴロに仕留め、場内は大歓声。延長十一回に2点を勝ち越し、決勝進出を決めた。 村田監督は「1点取られたら終わり。(阪下が)引っ張れないというデータを取っていたので」と解説。阪下の打撃傾向と、終盤になっても奥村頼の球威が衰えていなかったことを踏まえた判断だったと明かし「1000回に1回というプレーですが、練習はしていました。ああいうシフトを当たり前に敷けたのが良かった」とうなずいた。 結果的に三振だったものの、阪下は「ライト方向にしかヒットが出ていなかったので、そうなるだろうなと。(左翼を)狙いすぎたら当てにいってしまうので、振っていった中で(左翼に)行ってくれないかなと思いました」と勝負手に惑わされたことを明かした。名門の意地を示した横浜が27年ぶりの頂点へまい進する。