「私たち俳優はインテリア業者」…韓国の名優チェ・ミンシクが語る新作「破墓/パミョ」と映画に臨む思い、そして大杉漣の一言
韓国メディアのインタビューの中には、「助監督のような気持ちで臨んだ」という発言を紹介しているものもあった。
「そういう表現になったのは、チャン監督の映画づくりのプロセスを見てみたいという思いがあったからかもしれません。また、私の仕事の仕方の特徴の一つは、自分の意見を押し通すのではなく、監督が要求する方向性を最大限尊重しようということ。今回もチャン監督のディレクションに99%従って演じてみるということをしました。その点も『助監督のように』という話につながったのかもしれません」
映画は「監督の芸術」
99%従ってみた今作の結果について問うと、「本当に満足しました」と即答だった。「私は映画づくりで大切なのは、作り手のテーマ意識や主観だと思っています」。出演作を選ぶ時にも、脚本だけでなく、その点を重視するという。
「監督の考えに共感できるかどうか、そこがまず、優先順位としては先になります。目で文字を読む、活字でドラマを読むのは大切なことですが、絶対的ではないと思います。オカルトであろうと、社会性の強いドラマであろうと、ロマンスであろうと、監督がどんな視点でストーリーを見ているか、監督の考えが、ひとつの映画のクオリティーを決め、その成否を左右する。だから映画は『監督の芸術』と言われるんですよね」
そして「私たち俳優は下請け業者です」とにこにこと笑いながら言った。「インテリア業者ですよ」と。どういうことか。
「まず監督が家を建てますよね。骨組みに始まり、壁を作って屋根をかけて……。でも、インテリアをどのようなものにするかによって、家が引き立つこともあれば、あまりいいものに見えなくなったりもする。そういう意味で、私はインテリア業者です」
監督が明かしたキャスティングの理由
では、「破墓」に関しては、監督のどんなビジョンに共感したのだろうか。
「私はもともと、魂と人との関係、魂と自然の関係、自然と人の関係など、形而上的な事柄に興味を持っていました。非現実的なモチーフやストーリーに対しても、関心はあったんです。だから、チャン監督がオカルト的な作品をつくる時の考え方や哲学も含めて、制作プロセスが気になっていたのです」