“花の82年組”北原佐和子、介護の現場で18年 アイドル時代の経験が今の活動の支えに
◆利用者と向き合う中でコミュニケーションの大切さを実感
1982年に「マイ・ボーイフレンド」でアイドル歌手としてデビューした北原佐和子。その後、女優として活躍を続ける一方、ホームヘルパー2級を皮切りに、介護福祉士、ケアマネジャー、准看護師の資格を取得。芸能活動と介護の現場での実務の二刀流を続けている。そんな北原がこのほど、2冊目の著書となる『ケアマネ女優の実践ノート』(主婦と生活社)を上梓。これまでの歩みや現場で感じた思いを聞いた。 【写真】アイドル時代と変わらぬキュートさ! 北原佐和子、撮り下ろしショット 女優歴42年、介護職歴18年という経歴を持ち、介護の世界でも精力的に活動を行う北原。“北原マジック”とも称される実践的な介護術を分かりやすく詰め込んだ本作では、アイドル、女優として活躍してきた彼女だからこその視点から、介護におけるコミュニケーションの大切さを解説する。忙しくも不安定な女優業に身を置く中で、「人のために何かをしたい」と一念発起し介護の世界に飛び込んだ思いや、初心者でも取り組みやすい実践的なノウハウの数々がたっぷりと収められている。 ――北原さんにとって2冊目の著作となる『ケアマネ女優の実践ノート』。本作にはどんな思いを込められましたか? 北原:前作(『女優が実践した介護が変わる魔法の声かけ』)を出版したのが10年前。そちらは三大介護(食事、入浴、排泄)のケアに対する本という感じでした。この10年の間に、認知症の方とも多く関わってきた中で、人と人とのつながりがとても大切だということをしっかり学び感じてきました。人と人とのつながりが今希薄になってきていますよね。今回の本を通して、コミュニケーションの大切さを考えてもらえるチャンスになるといいなと思っています。 ――本作の中にも、「コミュニケーション」という言葉が多く出てきますが、北原さんご自身、以前からコミュニケーションには積極的なタイプだったのでしょうか? 北原:こう見えて実はすごい人見知りなんです(笑)。でも、人見知りって人に話しかけてほしくないわけではないんですよね。話しかけてはほしいけど、自分から話しかけるのは弱かったり。人見知りの人や自分の心を閉ざしている方がいたとしても、どこかで介入してほしい部分があったり。自分がそうだから分かるんですけど、人に話しかけてもらえるチャンスがあればいいなと心の中で思っていたりする。誰かに気にかけてもらえているんだと思うと、ホッとしたり安心したりします。なので、目の前にいる相手に対して「今どんな気持ちかな?」と想像力を働かせて、コミュニケーションを取ることの大切さを現場で実感したので、私の経験に基づいたノウハウをお伝えしようと、今回の本にまとめました。 現場でお会いした利用者の方にも頑固な方や、心を閉ざしている方もいらっしゃいました。でもそれは高齢者だからとか障がいをお持ちだからとかではない。心を閉ざすきっかけって、本当にささいなことだったりすると思うんです。そんな状況になってしまったら、それから逃げずにどう向き合っていくかが大切だと思うんです。いけないことをしたと思ったら、「ごめんなさい」と素直に気持ちを伝える。すぐには許してくれなくても、皆さん私たちより経験豊富な方ばかりなので、正直に気持ちを伝えたら分からない人たちではありません。そう私は思います。