なぜウェルスナビは三菱UFJに買収されるのか 《ロボアド最大手企業の経営課題とは?》
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は11月29日、ロボットアドバイザーによる個人資産運用サービスを提供する「ウェルスナビ」(東京都品川区)を完全子会社化することを発表した。 【画像】130億円資産を持つ柴山和久CEOの写真を見る
1000円台で推移していた株価が1358円まで跳ね上がった
MUFGが買収を発表したのは、折しも、貸金庫から元行員が十数億円相当の金品を盗み取っていた不祥事を三菱UFJ銀行が発表してから1週間後のことだった。 「MUFG傘下の三菱UFJ銀行は12月2日から来年1月20日までの期間に、ウェルスナビの株式公開買い付け(TOB)を行い、全株式を取得する方針です。買い付け価格は1株当たり1950円で、総額は約997億円。ウェルスナビは東証グロース市場に上場していますが、前日まで1000円台で推移していた株価は、11月29日にはストップ高の水準となる1358円まで跳ね上がりました」(銀行関係者)
CEOは元財務官僚、預かり資産は1兆3000億円規模に
ウェルスナビは2015年に元財務官僚の柴山和久CEO(46)が創業。ロボットアドバイザーが運用商品の選択、バランス調整などの投資を自動的に行うサービスを展開し、ビジネスパーソンや運用初心者を中心に利用者数を拡大していった。今年1月、預かり資産が1兆円を突破したと発表し、さらに新NISAに全面対応した「おまかせNISA」もリリース。7月時点では預かり資産が1兆3000億円規模まで達し、利用者数も39万人を超えたという。 「業界2位の『お金のデザイン』(東京都千代田区)の預かり資産は2000億円規模ですから、圧倒的な最大手と言えます。サービスの使い勝手は良く、利用者からの満足度も非常に高い。『長期・積立・分散』の資産運用は同社の代名詞的なフレーズにもなった。預かり資産を『数十兆円まで伸ばしたい』との目標も掲げていました」(同前) そのウェルスナビがなぜ、MUFGによる買収を受け入れたのか。そこには、幾つかの理由があった。さらに、同社を牽引してきた柴山氏は買収後も経営陣として残るのか。 現在配信中の「 週刊文春 電子版 」では、 三菱UFJのウェルスナビ買収を加速させた「石原さとみと新NISA」《130億円資産を持つ柴山和久CEOの今後は?》 と題した深層レポートを配信している。
「週刊文春」編集部/週刊文春