恩田陸最新作「作品史上もっとも美しくヤバい天才」が爆誕 萌え保証!一人の天才少年をめぐる「春」の物語
8歳でバレエに出会い、15歳で海を渡った天才舞踊家の萬春(よろず・はる)が、才能あふれる人々との出会いを通して無二の振付家へと成長していくさまを4つの視点から描く、万華鏡のような、圧倒的にロマンティックで美しい世界が花ひらく。 ■子どもの頃から妄想が尽きたことはない 絢爛かつ耽美、まるで少女漫画のようでした……と、読了後のインタビュアーが胸いっぱいに嘆息すると、恩田はカラカラと笑った。「少女漫画的な耽美ですよね。やはり美しくなきゃ。子どもの頃から、妄想が尽きたことはないんです。小学校くらいから、漫画やお話などなんやかやと書いていたので」。
少女漫画のみならず、少年漫画にも没頭する子どもだったという。萩尾望都に山岸凉子、一条ゆかりや美内すずえ、石ノ森章太郎そして手塚治虫……。「ドラマティックな、ザ・ストーリー漫画が好きで」(恩田)。恩田が得意とする美的な世界観、“ドラマが起きないわけがない”ワクワクする予感をはらむ舞台設定や抒情的なストーリーラインは、そこで培われたのかもしれない。 優れたエンタメストーリーテラーである恩田の作品が取材する世界は、驚くほど多岐にわたる。演劇、音楽、学園、英国貴族の館、民間伝承や特殊能力、都市伝説、テロやAI、そして無差別殺人などなど。さまざまな舞台設定やキャラクターを操ってストーリーを編み続ける、尽きぬ想像力の源はなんなのだろう。
実は、恩田は圧倒的なインプットをする作家としても知られる。それは読書に限らず、映画などの視聴や観劇、あらゆる“本物”を貪欲に摂取していくという方法論、いや性分のようだ。「時間が足りないですね。本は寝る前は必ず1冊読むようにしています。2時間くらいで1冊読めるので、そのまま寝落ち。本や映画、準備している小説によってはオーケストラやバレエも、たくさん摂取しないといけないのですごく忙しいんです。だから、テレビドラマを見始めてしまったら終わりだと思って、それはなるべく避けてる(笑)」。