「家のなかに滑り台?」東京から糸島に移住した眺望よすぎる新居はトラブル続き!?人生は捉え方次第で楽しくなる!【作者に聞く】
「家のなかに、こんな急な滑り台必要ある?」漫画家のつのだ ふむ(@tsunoda_fumm)さんは2年前、東京から福岡県糸島市に移住した。引っ越し先は玄界灘が一望できる眺望のよい家だったが、高台にあるため強風の日は危険で、洗濯機置き場はじめっとした地下室、2.5階から2階へは謎の滑り台を降りてくる構造のなんだか「ヤバハウスな家」だった――!! 【漫画】夫婦で移住した福岡の家が恐怖物件だった話 夫婦で糸島に引っ越したものの、移住先はトラブルの嵐…。今回は、移住記録漫画「夫婦で移住した福岡の家が恐怖物件だった話」を紹介するとともに都会から地方へ移住したきっかけや感想を聞く。 ■福岡市から海岸線を走ると見えてくる、玄界灘を一望できる「糸島」 現在、最新作「運命のリフォーカス」をAmazon Fliptoonで連載中のつのださん。糸島に引っ越すことになったきっかけを聞くと、「担当編集の佐渡島さんに『糸島に来ると、雄大な自然と触れ合いながら一流の漫画家になれるよ。パワースポットだし』と言われて、ノリで移住しました」と、言う。何ともフットワークが軽いが、奥さんも「やったことないことをやってみたいというタイプなので」反対はなかったそうだ。 本作は、移住のきっかけから実際に糸島へ引っ越すまでの物語が描かれる。まずは、2人で糸島に物件の下見へ。糸島は玄界灘が見渡せるリゾート地と呼ばれていて、不動産屋さんが連れて行ってくれたのはなんと間取り6LDK!広さを期待したものの、現地を見ると、家は古く奥行きのある細長い3階建てだった…。 それから別の物件を探し、移住32日前に中継で物件の下見。そこには、寝室からリビングに降りるための滑り台が設置されていた。行く方法がない謎のロフトなど、間取りに納得できず、引っ越しは難航したが新しい物件が出ることはなく契約することになった。 謎の「滑り台」については、「お隣さんが前の住人と知り合いだったそうなので聞いたのですが、前の住人も家を建てた人じゃなく、住んでいるときからすでに滑り台はあったらしいので、“誰が何のために”というのはよくわかりません。『なんで階段にしないのだろう?』というのが一番の謎ですが、人が滑るには急すぎるけど、ものを滑り落とすにはちょうどいいな、とは思うので、『ものを滑り落とす』ためのものかもしれません。まあ、この世には『解かない方がおもしろい謎がたくさんある』と思うので」と、つのださんは話す。 今回の移住で一番大変だったことを聞くと、「僕はトリを3羽飼っているんですが、飛行機だと『輸送中のペットが死んでも自己責任』みたいで、『トリは繊細なので飛行機はだめだ!』と思い、引っ越しの日にトリと僕らは新幹線で5時間以上かけて東京から福岡に行きました。車も買わなきゃ新居には辿り着けない場所だったので、引っ越し日に福岡に着いてから、車に乗って家まで行けるように段取りして、事前に契約を済ませておいたりして…」と、聞いているだけでも大変そうだが、これはまだ序の口。 「そんなこんなで朝、東京の家を出て、ヤバハウスに到着したのは夜8時くらいでした。すべてが大変でクタクタでした。クタクタで着いた家も、まだ荷物はなにも届いてないので、寝袋で雑魚寝です。羽蟻の死骸がたくさん床に転がってました」と、つのださん。新しい新居はクーラーもなく、ドデカムカデが住むヤバイ家だった。 しかし、「なんやかんやエキサイティングで刺激的な日々で、体験できてよかったと夫婦でよく話してます。こうして漫画にして取材も受けられてますし、人生は捉え方次第だなとあらためて思います!漫画ではトラブル中心に描いてますが、楽しいこともたくさんありましたから、あっという間に2年経ってます」と、つのださんは糸島での生活を楽しんでいたようだ。 また、「車がないとどこにも行けないので、移動手段の変化や、時間の使い方が全く変わり、自然と心境も変わったかもしれません。一日のあり方が全く変わって、夜寝る時間が早まったり(真っ暗で獣の声しかしなくなるので)、朝起きる時間が早まったり(家から日の出が見える)、そういった中で、『ああ、自分は都会から離れて人間本来の在り方に少しだけ近づいているかも』とは思いました。まあでも、トラブルへの対応にずっと追われていたので、心境の変化を感じるよりも、感情の波が激しかった、という方が近いかも」と、心境の変化を話す。 引っ越し後は、虫対策に追われたり、クーラーを設置したり、リフォームを重ねながら住みやすい家に改装。その後、奥さんは糸島で出産する。その間も台風被害にあうなど、本当にさまざまなトラブルと戦う実録漫画となっている。 「今期の朝ドラ『おむすび』は舞台が糸島なので、毎朝楽しく家族で視聴していて、Xで毎日その漫画を投稿してるので読んでみてください!糸島STORYの2章へ繋がる毎日連載となっています。糸島STORYは連載したりしなかったりで、今は止まってますが、僕の人生を記すライフワーク的な漫画なので、気長に追い続けてもらえたらうれしいです」と、つのださん。本作、糸島の移住物語「糸島STORY」は、kindleで読むことができる。そのほかにも「ロケ弁の女王」、「リアル・ユー」「REACH-無限の起業家-」などの作品を描く。 取材協力:つのだ ふむ(@tsunoda_fumm)