男性看護師はまだまだ少ない。ジェンダー平等の視点が、その活躍の場を広げる
編集後記
なぜ男性看護師が増えないのか、というテーマを掘り下げる中で、社会に根づくジェンダーバイアスに直面させられました。 男性患者が女性看護師の指導を聞き入れない、という事例は「性別」がときに無視できない影響力を持つことを物語っています。また上司や同僚の女性が男性看護師のからだを触ることがある、というエピソードも、もし男女の立場が逆であったら大問題になるはずで、マイノリティ男性の声がもっと伝われば、と感じました。 長年「女性の仕事」と扱われてきた看護業界に男性が増えることは、従来の固定概念に縛られない新しい看護の在り方の芽生えも感じさせます。男女という性別ではなく、個々の能力や適性、患者さんのニーズなどに基づいた役割分担が行われるようになれば、ケアの質が「適材適所」となって向上していく可能性があります。 坪田さんや秋吉さんのような男性マイノリティが変革に取り組むことは、男性看護師の増加という事象にとどまらず、他の分野におけるジェンダーロールの固定概念を打破する波及効果をもたらすかもしれません。 それは、私たち一人一人が無意識のバイアスの存在に気づき、より公平で多様性に富んだ社会を築くための重要な一歩になるような気がします。
日本財団ジャーナル編集部