大学サッカー部の体罰問題に挑んだ趣里“亮子”、正義の所在の言葉が突き刺さる<モンスター>
趣里が主演を務める「モンスター」(毎週月曜夜10:00-10:54、フジテレビ系/FOD・TVerにて配信)の第4話が、11月4日に放送された。今回亮子(趣里)の元にきた依頼は、「体罰」という証明があいまいなもの。難しい問題に着実に迫っていくとともに、最後に放たれた亮子の言葉は現代社会に切り込むものだった。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】亮子(趣里)に振り回される杉浦(ジェシー)がかわいい ■異色のリーガル・エンターテインメント 本作は、“常識”にとらわれず、“感情を排除”して相手と向き合う得体のしれないモンスター弁護士・神波亮子(趣里)が主人公。時に法が追いついていない令和ならではのさまざまな問題と向き合い、まるでゲームのように法廷闘争に立ち向かう、異色のリーガル・エンターテインメントだ。 物事の本質を見抜き、独自の解釈のもと裁判を掻き回す型破りな“モンスター”だからこそ、人間が訳もなく悪意に満ちてしまう、“モンスター”になる瞬間を見逃さず、冷静に事件を解決に導き、周囲の価値観を覆しながら影響を与えていく。 亮子に振り回されることになる東大法学部卒の若手弁護士・杉浦義弘をジェシー(SixTONES)、失踪中の亮子の父・粒来春明を古田新太、亮子と杉浦が所属する法律事務所の所長・大草圭子をYOUが演じる。 ■大学サッカー部で体罰問題が集団訴訟に発展 名門として知られる大学のサッカー部の体罰問題を、部員Aが告発した記事が週刊誌に掲載。大学サッカー部でコーチを務める甘利(佐野岳)が杉浦の高校の同級生というつながりから、亮子に依頼が舞い込んだ。 時を同じくして、他の部員たちが動画配信で、これまでの厳しい練習は体罰だったと、損害賠償を求めて大学を提訴するとした。大学側は、体罰がなかったこと、そして週刊誌で続報のネタを持っている部員Aの特定を求めた。 体罰は基準があいまいで、あったこともなかったことも証明するのは難しい。また“部員”の特定も、現役なのかOBなのか、また複数をAとまとめているのか、あるいは他の部活の部員の可能性もある。亮子と杉浦は、OBや他の部活などからの証言を集め、裁判に挑んだ。 ■亮子の深いメッセージに考えさせられる 今回も亮子の鋭さが冴えわたった。裁判では、体罰について、集団訴訟の中心にいた神宮司(夏生大湖)が高校からのライバルでプロ候補の武田(本田響矢)のひざを心配して練習が負担にならないようにしたかったという友情に感動する一方で、武田が受けていたスポーツ特待生制度の闇が浮かび上がった。 裁判後、亮子は大学の理事長にけがをしても申告できない状況にあるスポーツ特待生のシステムの改善を提案。それをしぶしぶのように受け取りつつ、理事長は部員Aの特定にこだわったが、亮子は「どうでもいいです、そんなこと」とバッサリ。 続けて「本当かどうかわからないことに右往左往したり、得になりそうとか、刺激的だというだけで群がったり。ただ流されてみんなと同じ空気に乗っかってるだけなのに、世の中を動かした気になる。そっちのほうがはるかにおろかなんじゃないですか?」と語った。 不正を暴く“正義”。劇中の週刊誌へのリークという形だけでなく、今のネット社会にも通じて、切り込んだ亮子の言葉が突き刺さる。亮子は「どうでもいい」とは言ったものの、部員Aらしき人物として亮子の視線で示されたのは甘利だった。最後の最後に、一歩踏み込んだところにいる“モンスター”を表には出さずともあぶり出すという、観る者を引き付け、考えさせる展開の面白さが続く。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部