佐藤輝明(近大)インタビュー 飽くなき打撃への向上心
187センチ92キロの立派な体は、今なお進化の途上にある。コロナ禍の自粛期間中は徹底的に体を鍛え抜き、一回りビルドアップした体でラストシーズンを迎えた。周囲の期待を重圧ではなくモチベーションに変え、アマ球界No.1野手は打撃のみならず“3拍子”への意識を高めている。 取材・構成=坂本匠 写真=太田裕史 ドラフトが約1週間後に迫った10月18日の関大との1回戦(ほっと神戸)で、値千金の一打が飛び出した。多くのスカウト、報道陣が見守る中、6対6の延長11回に右翼席へ、特大のリーグ通算14号の勝ち越し3ラン。並んでいた二岡智宏(近大、現巨人三軍監督)を抜くリーグ歴代1位の本塁打に佐藤輝明は「チームの勝利につながる1本。本当にうれしい」と笑顔。注目される中での最高のパフォーマンスに、アマNo.1スラッガーの底力を見た。 ──春のリーグ戦が中止となり、大学選手権、そしてこの秋の明治神宮大会も取りやめとなった中で、今年唯一で大学最後の秋のリーグ戦をどのような思いで戦ったのですか。 佐藤 仲間とできる最後のシーズンとなってしまったので、絶対に優勝して終えたいと思っていました(※近大は10月19日に全日程を終え、最終の第7節を残し首位)。 ──個人の記録にも注目が集まる秋のリーグ戦となりました。連盟記録であり、近大の先輩で現巨人三軍監督が持つ13本の通算本塁打記録に残り2本で開幕を迎えましたが、数字への意識はありましたか。 佐藤 特別に記録そのものを意識することはなかったですが、自分が成績を残せば残すほど、チームが勝てる可能性は高まりますし、勝利につながる1本であれば、と。優勝に貢献できるような、いいところで打つというか、それで結果的に超えていればうれしいかな、という感覚でした。 ──その秋のリーグ戦では、3試合目となった関学大1回戦(9月12日)で今季1本目を放ちます。通算12号は、1点ビハインドの9回、土壇場での貴重な同点弾でした。 佐藤 9回で追い詰められた場面で打てた1本だったので。意味のある1本というか、こういうホームランを大事にしてきましたし、これからもそれは変わらないと思います。 ──センターバックスクリーンに飛び込む特大の一発でしたが、手応えもあったのではないですか。 佐藤 手応えもありました。1点負けていたので、とにかくいつもどおりのスイングをして、強い打球を打って、あわよくば長打、という気持ちで打席に立ちました。 ──佐藤選手の言う「いつもどおり」とは、何を指しているのですか。 佐藤 どんなボールに対しても、どんな状況にあっても・・・
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週刊ベースボール