トランプ政権2期目、中国はどう動く? 外交研究者の私が日本企業に「脱中国依存」を勧め続けるワケ
対中国強硬路線、政権の最重要課題
トランプ政権が今月に発足する。トランプ氏は大統領選で七つの激戦州を全勝し、ハリス氏に大差で勝利した。また、同時に行われた連邦議会選挙でも共和党が上院と下院で多数派となり、政権運営が非常にやりやすい環境を得た。 【画像】マジ!? これが「自衛官の年収」です! グラフで見る 再選を意識する必要がない2期目となり、周囲には自らに忠誠的な人物を集め、1期目以上にトランプ色が強くなると予想されている。トランプ政権の外交・安全保障政策で最も重要な課題は 「対中国」 である。そのため、対中強硬派が主要な要職に起用されることとなった。外交を担当する国務長官には、対中強硬派のマルコ・ルビオ上院議員が起用される予定だ。 ルビオ氏は新疆ウイグル自治区の人権問題に強い関心を持ち、台湾防衛を積極的に支援する立場を示している。安全保障担当の大統領補佐官にはマイク・ウォルツ下院議員が起用されるが、ウォルツ氏も中国海軍の軍備増強に対抗するため、米海軍の艦船や装備の増強を訴えている。 さらに、通商・製造業担当の大統領上級顧問には対中強硬派のピーター・ナバロ氏が起用される。ナバロ氏はトランプ政権1期目で通商政策担当の大統領補佐官を務め、米国の経済と雇用を守るため、保護貿易主義路線を進めるうえで重要な役割を担った。 このような人事配置から、来年1月に発足するトランプ政権は、中国に対して厳しい姿勢で臨むと考えられる。
中国の対米強硬策の行方
中国はどのように対応するだろうか。現在考えられる対応策はふたつあり、ひとつはハードな対応だ。中国は、1期目のトランプ政権が実施した厳しい対中関税制裁に対し、米国製品への報復関税を課し、米中間で貿易戦争が激化した。2期目のトランプ政権も基本的に同じ姿勢を取ると予想され、中国はそのシナリオを十分に理解し、トランプ政権に屈しない立場を取ると考えられる。 習近平氏は、米国に対して弱腰な姿勢を国民に見せるわけにはいかず、強い指導者像をアピールするだろう。トランプ氏が貿易摩擦を緩和させるような姿勢に転じる可能性は低いため、中国が強硬に対応すれば、それは米国向けに製造・輸出する日本企業にとって大きなリスクとなる。 もうひとつ注目されるのは、テクニカルな対応だ。習近平氏は2024年11月にブラジルで開催されたG20首脳会議で、中国が多国間主義と国連を中心とする国際システムの重要性を強調し、孤立主義や保護主義に反対し、開かれた世界経済を作る必要があると述べた。 この発言は、米国大統領選後に行われたもので、保護貿易主義を進めるトランプ氏を意識したものだ。中国は、トランプ氏の関税政策が自由貿易や市場経済に対する脅威だと訴え、米国の孤立を図るとともに、日本、欧州、グローバルサウス諸国などとの安定した経済・貿易関係を維持し、発展させることを狙っている。