「三流の馴れ合いだよ」人気YouTuberの“ブチギレ”に場が凍る…『HASHTAG HOUSE』4話
人気インフルエンサー10人が共同生活を送りながら、それぞれのSNSスキルを競い合うバトルゲーム・リアリティショー『HASHTAG HOUSE(ハッシュタグハウス)』(ABEMA)。メンバーは、全員共有のSNSアカウントを用いて、個人戦・ペア戦・チーム戦に挑戦。番組側が与えた、投稿再生数やフォロワー数などのミッションを達成していき、最終的な総獲得ポイントで、勝者と脱落者を決定する勝ち抜き戦が繰り広げられる。 【写真】号泣するメンバーも…人気YouTuberの“ブチギレ”に場が凍った『HASHTAG HOUSE』4話のハイライト 今回は、12月28日放送の4話から見どころを紐解いていく。細かなネタバレもあるため、ご注意いただきたい。 ・ジョージ、憎まれ役を買ったのは自己犠牲の精神ゆえ?「なにもかもが意識低い」 「もうぶっちゃけて話すわ。クソつまんねーよ、この企画。それこそ、ガチの三流インフルエンサーの馴れ合いだよ」 こうして吐き捨てられたヘイトが、なにを隠そう今週のオンエアの火種である。歯に衣着せぬ厳しい口ぶりから察した読者も少なくないだろう。この言葉の主は、日本に生きるすべての男子のメンタルコーチこと、ジョージ。1週間でSNSフォロワー10万人を獲得するミッションも最終日を迎えての朝、宿泊先を離れて海辺で一人、テトラポッドに腰を下ろす“aikoスタイル”で動画を回し、件の言葉をカメラにぶつける姿がそこにはあった。 一方その頃、残りのメンバーは朝食がてら、ロイ&おだけい謹製のプルコギをつつく。腹が減っては戦はできぬ、とは言うものの、ジョージのようなスパルタコーチからしてみれば、こうした光景も悠長に感じられて仕方がないのだろう。実際、彼が姿を見せると「お前らはいま、これ見る準備できてないかもね」との不穏な言葉を添えて、前述の撮影動画を再生しはじめた。 「つまんないって。無理だって」「(フォロワー)10万人いくのもさ、本気なヤツいないよね」「結果を出すことに対してプライドがないんだったら、無理だって」「なにもかもが意識低い」「誰が観んだよ、こんななかよしこよしの馴れ合いを。厳しいって」 ……いや、朝から空気悪いって。味付けが濃いめだとしても、プルコギの味なんてしなくなるって。とはいえ、すでにお気づきかもしれないが、これはたしかにジョージの本音かもしれないが、同時に彼なりにメンバーに最終日、ハッパを掛けるための叱咤激励だったわけでもある。少なくとも、その場にいたロイやゆうぴーまんはあまりの手厳しさに凹みを隠せないながらも、ほかメンバーとの潤滑油となり、ジョージの意図を優しい言葉に置き換えて伝達する。ジョージの考えの根底には、優しさがあるのだ、と。 ・ぴょな号泣、那須ほほみも本音をぶつけた朝 ジョージ&ゆうぴーまんによる“首脳会談”も その証拠に、ジョージ自ら孤立した状況が生まれた方が面白いと語りながらも、それに矛盾するように「次に本音しゃべりたい人?」と、全員の対話を持ちかけているのだ。自己犠牲の精神で憎まれ役を買い、この10名での結束を深めるために、それぞれが抱えてきた本音を引き出させようとする。本当に、どんな場面でもメンズコーチすぎるって。 こうした優しさもありつつ、動画内での言及についてはやはりまた別物。これをYouTubeに投稿するかについては賛否両論がくっきりと別れ、“賛”でいえば、ふかわ。がたしかにインフルエンサーの馴れ合いと思える活動を「寒いと思ってた」ときっぱり。元之介も「(ジョージの)気持ち伝わった。悔しい、かな」と、その想いを滲ませる。対する“否”の意見では、日本一バズった元上智大生・かとゆりが、今回の投げかけも大切な最終日でなく、それを走り切った明日以降にすればよかったのでは、と。おだけいもまた「本気でやってるし」と、あくまで全力だというスタンスを揺るがさなかった。 さらに、全員の本音は件の動画外にも広がり、ぴょなは号泣状態で「正直、うちがここ(ハッシュタグハウス)に呼ばれた理由がわからない」、那須ほほみもまた、共同生活序盤に自身とふかわ。を“カップル売り”させようとしてきた周囲の空気がしんどく、あくまで全員のために無理をしてきたと、隠してきた悲しみと少しの怒りをぶつける。こうして車座を囲んで、一人ずつ順に感じるところを打ち明けたのだが、思えば会議などの場で全員がもれなく、かつ平等に口を開いたのも、今回の共同生活が幕を開けてからこれが初めてだったかもしれない。しかもそこで出てくる言葉は、どれも包み隠さぬ本音である。 この話し合いは結果的に、おだけいの「どうする、これから?」の言葉で再びポジティブな流れに導かれ、ジョージの動画投稿も実行には移らず終わった。とはいえもう最終日。前回のダイジェスト記事でも示した通り、できるのは文字通り“最後のあがき”である。この日もTikTokを主軸に、自己紹介ムービーの派生系として、本名、似ている芸能人から、経験人数やお寿司を何貫くらい食べられるのかまで、さまざまな話題の動画を量産すること20本以上。このあたりの投稿は当時、おすすめ欄に流れてきた読者もいたのでは? 余談だが、この日の夜、ジョージとゆうぴーまんによる、いわば“首脳会談”が縁側でしんみりと催された。お互いに対極のキャラクターだと理解しつつ、ゆうぴーまんからの“なぜこの番組に出演し、普段と異なる活動をしているのか?”という質問に、ジョージはこれは自分のメインチャンネルでの投稿でもないし、あくまで仕事の一環。筆者の所感として、あえて“軟弱な”という表現を付け足すが、そうした印象のダンス動画が世に出回ったとしても、自分のファンも最後には理解してくれるはず、と曇りなく答えていた。 その上で、ソロインタビューも含めて「あの時点で動画を出すのは、無理があったかな」「オレの間違いでしたね」と、自らの至らぬ点を省みる。素直に間違いを認める姿も、なんとも潔かった。ゆうぴーまんもまた、動画内とリアルでキャラクターを分けるほか、あの場の正解として喝を入れる方法もあったのでは、と提案する。ジョージの想いを立てながら、やはりほかメンバーよりひとつ上の視座から意見を延べられるあたり、ジョージとは異なる性質だが、ゆうぴーまんも同じく“コーチ”ポジションと言えようか。 ・1stミッションの結果は? 元上智大生・かとゆりが、“マイルド”な脱退投票の方法を提案 さて、この1週間の努力は報われたのか? なかなか周囲から“必死に見えないスパイラル”から脱却できなかったのはおおかた想像の通りとして、前述のTikTok投稿や、おだけい決死の夜通し生配信など、最後の追い上げもありつつーー結果は、獲得したSNS総フォロワー、68,300人。健闘虚しく、約30,000人ものショートとなってしまった。 ミッションを終えて、ジョージは初日から作戦とルーティンを考えて取り組むべきだったなど反省点を挙げていたが、おそらく忘れてはいないだろう。目標を達成できなかった場合、メンバーひとりがここで脱落となる。 該当メンバーを決める方法は、自由。全員での話し合いはもちろん混線し、ジョージとゆうぴーまんが投票制の声を上げる。実力主義なのだから仕方がない、と。その傍ら、“実力”も見る角度によって異なり、そう考えると全員同じ実力だと優しさを見せるロイ。「オレ、帰ります。お願いしたい。帰らせてください」と、立候補するおだけい。本当、なんともキャラクターの違うメンバーが集まったと再認識させられる。 この話し合いの落としどころは、かとゆりによる“1人2票”での脱落投票に。1人1票よりも「ちょっとマイルドになる」とのことで、この案が採用されることとなった。とはいえ、自身を曲げず論理的、かつ原理に立ち返って、1票のみを投票するジョージ。こちらも自身を曲げず、自分に投票するおだけい。さらに後々のバトルを考えて、結果に響かないメンバーを選択したというかとゆり。繰り返すか迷ったが本当、なんともキャラクターの違うメンバーが集まったと再認識させられる。 脱落投票の結果、元之介&杉本凛が同票に。ひとりだけで綺麗に決まればよかったものの、“戦力外”の予備候補まで実質的に判明してしまい、むしろ空気が悪くなってしまうも束の間。最後には、ふたりが話し合いとじゃんけんの末、杉本の方がハッシュタグハウスを去ることが決定した。同じABEMAだからこそ名前を引用するのだが、あの『オオカミ』シリーズですら、こんな序盤からあっさり脱落者を出すことはない。これが同局初、恋愛抜きの恋愛抜きのバトルゲーム・リアリティショー。まったく容赦をしてくれない。 残念ながら脱落者は出てしまったものの、わずかに救われたのがオンエア終盤。全員で円陣を組んだとき「また飯食おうぜ、みんなで」と声が挙がった場面だ。その声の主は、朝食にプルコギをつついていたところ、険悪な空気を運びながら、誰よりもメンバー想いだった、あのジョージ。この言葉を彼が発したことで、本企画が「ガチの三流インフルエンサーの馴れ合い」ではないと示す意味があった気がする。元之介をはじめ、残りメンバーが杉本から受け継いだ想いを糧に、次なるバトルでも全力を振るってくれることを願っている。
一条皓太