東大卒ママが実践する、自宅で子どもの地頭を良くする“楽しくておいしい体験“3つ
②かつお節を削ってみる
続いては、やってみて子ども自身がもっとも熱狂した体験「かつお節削り」です。子どもは旨味に対する味覚が備わっていますから、削りたてのおいしさが理解できるはず。 削り器は、子ども用のキッチンツールを多く製造する貝印のものをチョイス。小さな手でも使いやすく、機能性や安全面において信頼がおける製品がオススメです。子どもの年齢によって教え方は異なりますが、まずは安全を最優先に。食材やキッチンツールに慣れていない子どもに「一人でやってみなさい!」は禁物です。 かつお節を握っていると、まわりのカビが手について茶色になるでしょう。この体験により「なんだこれは?」という疑問が芽生え、においをかいだり、この成分がいったい何なのか? を考える大きなきっかけになります。 また、子どもの関心事は親の想像とは違う方向に行く場合も。硬さが気になって、テーブルをトントンしたり、途中で削り節をつまみ食いしたくなるのが子どもの発想。このような行動を叱ることなく、楽しませてあげる寛容力を大切にしています。 【大切にしているポイント例】※カッコ内は育める能力 ・かつお節がどうやって作られているかを最初から教えない(知的好奇心) ・においや触った感覚を体験させる(五感を育む) ・つまみ食いを叱らない(楽しむ力) ・どんな料理に使うのが良いか、一緒に考える(創造力) ・かつお節を削るのが本物、正解だという概念を植えつけないこと(柔軟性)
③大好物なヨーグルトの食べ比べをする
最後は、普段からいろいろな食材で実践している「食べ比べ体験」です。 ここで大切にしているのは、子どもが好きな食材を選んで楽しく進めること。チーズ、ヨーグルト、だし、バニラアイスなど原材料がシンプルな方が取り組みやすいでしょう。ここではヨーグルトを5種類並べてみました。同時に比較しながら食べてみると、味や質感が違うことがすぐに理解できます。 ヨーグルトをどうやって作るのか? という疑問がわいてきたら、必要な材料や製造工程を伝え、材料や菌の違い、発酵環境などの話を“腹六~七分”を意識しながら説明するようにしています。 今回我が子は乳脂肪分と無脂乳固形分の概念を知って大興奮。ここで一つ注意したいのが、親の説明ボリューム。知りたい子どもに対しておなかいっぱいまでくどくど解説すると、かえって好奇心をそいでしまうことがあるので、ちょっと物足りないくらいがベター。 これを聞くと、「親として完璧に答えなければならない」というプレッシャーもなくなりませんか? 親が全部を知る先生だと思わせる必要はまったくありません。 【大切にしているポイント】※カッコ内は育める能力 ・好きな食材で食べ比べをする(積極性) ・ヨーグルトの違いを体験する(味覚力、比較力) ・違いの理由を考えてもらう(考察力、分析力) ・むやみに分析表を描かせたり、親がゴールを設定しない(主体性) 今回の食体験はあくまでも一例。子どもの特性や興味によってアレンジして良いと思います。まずは気軽なところから、家庭の身近な材料や調理家電を使ってはじめてみてくださいね! <文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ> 【スギアカツキ】 食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
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