「十一人の賊軍」のチケット代2000円が安すぎるワケ 凝縮、スピード、迫力の殺陣
PG12がふさわしい自由さ
かくして「十一人の賊軍」は「新しいものと古いものの調和」を越え、「数多くのジャンルが融合(fusion)する」日本映画の新しいマスターピースとなった。加えていえば、白石監督からアイドル、正確にはトータルパフォーマーとして活躍した経歴の持ち主だと聞いて、長年の経験を誇る俳優だと思い込んでいた筆者の勘違いに気づかされた鞘師里保は、意味深長な終幕で作品の品格を高めることに貢献している。 息が切れるほどの速度で書いてきたこの文の最後に一言だけ付け加えたい。東映の配慮で実現した数年ぶりのインタビューを終え、彼は「特に若い方々に見ていただきたい」と話していたが、筆者の考えは違う。この映画は「PG12」ではないか。「十一人の賊軍」に表現の制限などほとんどない。これこそ演出家として無類の進化を見せた白石監督の新作に対する、正しい前提ではないか。
洪相鉉