PTA役員の負担軽減は“有償・外注”がヒント。時給制で「パート事務員」を雇う愛媛県松山市PTAの事例
共働き世帯の増加などにより、近年深刻化するPTAの人手不足。 多くのPTAでは活動の省力化が進んでいるものの、役員の負担が大きく、なり手がいないなどの課題が全国各地で顕在化しています。 【ランキングTOP12を見る】PTA活動で不必要だと思う活動、1位になったのは…? こうした状況のなか、愛媛県松山市では、市内多くの小中学校PTAで有償の「PTA事務員制度」を取り入れています。 どのような制度なのか、松山市PTA連合会顧問の河崎元(かわさき はじめ)さんに聞きました(「崎」の正式表記はたつさき)。
◆有償の「PTA事務員制度」とは
「PTA事務員制度は、PTAが会費から報酬を支払って事務職員さんを雇う制度です。松山市では1980年頃からこの制度ができ、現在まで引き継がれています。 令和5年度は、市内の小学校59校(休校中の小学校含む)のうち39校、中学校29校のうち22校が取り入れており、PTA事務員さんは、通称『P事務さん』とよばれています」(河崎さん/以下同) PTA事務員の主な仕事内容は、各校PTAにより多少異なりますが、 ・PTA会員やPTA連合などに向けた案内文、議事録など各種資料の作成・配布 ・PTA会費の入出金管理、予算管理 ・PTA役員、PTA会員、学校との連絡調整 ・講演会などのイベント運営事務 など。PTA本部の「庶務(書記)」や「会計」にあたる業務を担っていることがわかります。 また学校との連絡調整やイベント運営を行っているPTAもあることから、組織のスムーズな運営を支援する「PTA事務局」としての役割を果たしているといっていいでしょう。 河崎さんによると、PTA事務員は各校に1名配置されており、そのほとんどが役員経験のある保護者OG。職員室もしくはPTA会議室にPTA事務員専用のデスクがあり、そこで業務を行っているそうです。 「勤務形態は各校PTAにより異なり、勤務日数は週1~5日、勤務時間も1日3~6時間程度とさまざまです。毎月の給与は、時給換算して支払うシステムになっています。 令和5年度、PTA事務員さんにお支払いした給与総額は、いちばん金額が少ないPTAで18万6000円、いちばん多くて120万円とかなり幅があります。雇用契約は1年が基本ですが、更新も可能です。同じ方が5年、10年と続けるケースも多いです」