「第2回大阪万博」が盛り上がらないのは前回のアポロ月着陸を超える科学技術上の快挙がないから~「人類の進歩と調和」は実現されたのか
「科学技術の未来」は明るいか?
昨年8月5日公開「万博もオリンピックも20世紀の遺物、大阪万博は開催すべきなのか? そしてパリ・オリンピックも?」3ページ目「万博の輝かしい歴史」で述べたように、1851年の第1回ロンドン万博は、1760年代に始まり19世紀に入って花開いたとされる英国の産業革命の成果(工業製品)の見本市であったといえる。 つまり、産業革命以降の「急速な科学技術の発展」をお披露目する場として、盛り上がったのだ。 その意味では、1970年の「第1回大阪万博」が「科学技術の未来に対する楽観主義」の頂点であったとも言える。 何しろ、少なくとも「かぐや姫」の時代から、人類の憧れであった「月」に到着するという快挙を前年に成し遂げたのだから、「科学技術に対する熱狂」にはすさまじいものがあった。 小学生の頃、SF小説に夢中になったが、筆者映画評論「トゥモローランド」で述べたように、それらの作品の大部分は「科学技術の発展による明るい未来」を描いたものだった。つまり、世界は「科学技術」に夢を見ていたのだ。 だが、1982年の映画「ブレードランナー」の頃には、SFにおける底抜けの明るさというものが消え去っていた。そして、「科学技術の負の側面」がクローズアップされるようになる。
いびつに膨れ上がった世界
確かに、1970年の大阪万博以来、世界は「量的に拡大」している。 1950年に約25億人であった世界人口は、1970年に約37億人まで増えた。そして現在では81億人を超える状況だ。 1950年から比べれば3倍以上、1970年の大阪万博当時との比較においても2倍以上である。このような急速な人口増加に対してマルサスの「人口論」的観点から懸念が表明されたが、「緑の革命」(ルーラル電子図書館)などによって、必要な食料を供給することができた。この緑の革命は、品種改良や高性能な肥料や農薬によって支えられ、まさに「科学技術の勝利」であった。 しかし、人口が驚くべきスピードで増大したにもかかわらず、いまだに世界的な「南北問題」や国内での「二極化」は解消されないどころか、むしろ悪化しているように思える。 また、1969年の「月面着陸」を超える科学技術上の快挙も、過去55年間起こっていない。 結局のところ現在では、「科学技術の発展による明るい未来」など「絵空事」であると多くの人々が感じているであろう。