特定外来生物“アライグマ”の猛威が拡大 北海道全域で過去最多2万6425頭捕獲するも止まらない農業被害 驚異的な繁殖力への対策は?
北海道大学大学院 文学研究院 上野真由美准教授 「データに基づくと、3月から6月というのが、“わな”をかけた努力に対して、数多く捕れるという時期になっているということが示されています。おそらく背景としては、雪どけをし始めた時期ということで、山野にそれほど食べ物がないことと、農作物も実ってないということで、“わな”内のエサが魅力的に感じるのではないか」 アライグマの農業被害を防ぐには、農家だけではなく、自治体や住民を巻き込んだ駆除の取り組みが必要だと、上野准教授は指摘します。 北海道大学大学院 文学研究院 上野真由美准教授 「アライグマがいることによる、身近な問題の中で一番大きいのは、北海道民にとっては、やはり農業被害だと思います。地域の中で、それぞれの隣接する市町村が、一体感を持ってやっていくのが何より大事なのかなと思います」 個体数を減らすことが難しいとされるアライグマですが、駆除に一定の成果をみせているマチもあります。 北海道空知地方の新十津川町では、農業被害が増えていたことを踏まえて、北海道の研究機関にアライグマ駆除対策について相談。 それまで20基程度だった“箱わな”の数を150基ほどに増やし、被害の出ている農家に貸し出ししたほか、さまざまな対策を強化しました。 新十津川町産業振興課 井上柊太さん 「捕獲報酬金といって、アライグマ1頭当たりに対して、捕獲したかたにお金を支払うような制度を導入したり、アライグマの“箱わな”を設置した際に生息数を計るために、今回、日記のようなものを付けていただいたりという経緯がある。今後、どれくらいの頭数を年間捕獲していけば、アライグマが根絶に向かっていくか、その指標を計るために“アライグマの生息数”を計った次第です」 3年間のアライグマ対策強化の結果、特定の区域内に存在する生物の個体数を表す“生息密度”が、超高密度を示す【5.3】から、低密度である【0.6】まで下がりました。 北海道大学大学院 文学研究院 上野真由美准教授 「“わな”の数を増やしたり、報奨金を設定したり、研究機関がすごい技術をてこ入れしたわけでもないが、地道に地元の捕獲体制を強化したと。3年間の成果というのがアライグマの生息密度の低下であったり、被害の低下・軽減であったりにつながったことが証明され、非常に素晴らしい取り組みと感じています」 北海道大学大学院の上野真由美准教授の話にもあったように、新十津川町では、何か奇抜な得策があったわけではなく、地道に捕獲体制を強化していったことが、農業被害の減少につながったということです。
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