万博ガスパビリオン、放射冷却技術の膜設置が完了 夏場は一般テントより最大10度涼しく
2025年大阪・関西万博で日本ガス協会が出展する「ガスパビリオン」で、放射冷却技術を応用した外装膜の設置が完了し、涼しくなった内部が18日、会場となる人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)で報道陣に公開された。膜の効果により、夏場は一般的な素材のテントを張った場合より最大約10度、気温が低くなる。同技術を用いた膜建造物は世界初という。 【画像】日本ガス協会が出展する「ガスパビリオン」の外観イメージ 膜は大阪ガス発のベンチャー企業のSPACECOOL(スペースクール、東京)が開発し、熱を赤外線として宇宙空間に放出する放射冷却技術を取り入れている。パビリオンには約2800平方メートルにわたり銀色の膜が張られた。この日午後2時ごろで外気温27度に対し、内部の気温は空調を使わずに23度だった。 パビリオンでは開催期間中、空調も使用するが、人のいる場所だけを効率的に冷やす設計を採用。膜の効果と合わせ、同じ形状の膜建造物と比較して空調で取り除く熱量(空調負荷)を約60%減らせるという。その結果、空調による二酸化炭素の排出を減らせる。 スペースクールの広報担当者は「放射冷却素材は、暑熱が激しく、空調のための電気系統が整っていない中東や東南アジアからの関心が高い。海外からも来場する万博で技術をPRし、事業展開の加速につなげていきたい」と話した。 パビリオンは高さ約18メートルで、空に向かってそびえる三角形のデザイン。設計を日建設計、建設を奥村組が担当して昨年11月に着工し、全工程の約60%まで進んでいる。現在は内装工事が行われており、今年10月末に全体の工事が完了予定。(牛島要平)