約2万5000人に『不妊手術』 戦後最大の人権侵害「旧優生保護法」は違憲 最高裁が国に賠償命じる判決
「旧優生保護法」の下、障害があることを理由に不妊手術をされた人たちが国に損害賠償を求めた裁判。 最高裁判所は『旧優生保護法』は憲法に違反していたと認め、国に賠償を命じる判決を言い渡した。 長い拍手で判決を喜ぶのは、大阪府に住む野村さん夫妻(仮名)。
■妊娠9カ月で帝王切開 同時に「不妊手術」 手術は夫妻に伝えられず
2人は、およそ50年前に子どもを授かったが、出産間近に医師から「赤ちゃんに異常がある」と言われ、急きょ帝王切開で出産。 妻の花子さんには、同時に不妊手術がされていた。 子どもは生まれた翌日に亡くなった。
■少なくとも2万5000人に実施された『不妊手術』 戦後最大の人権侵害「旧優生保護法」
野村花子さん(仮名・70代): 私は不妊手術をされたことを今でも悔しく思っているんです。なぜ不妊手術を私が受けなくてはならなかったのか 戦後最大の人権侵害と呼ばれる「旧優生保護法」。 この法律の下、障害のある人たちに不妊手術が行われ、その数は分かっているだけで2万5000人に上る。 2人は手術から40年以上が経った2018年、不妊手術がされていたことを知り、翌年、国を訴えた。 しかし国は、損害賠償を求める権利が不法行為から20年で消滅する「除斥期間」の規定をもって、「2人にはもう権利がない」と主張してきたのだ。 一審は2人の訴えを退けたものの、二審の大阪高裁は全国で初めて国の賠償責任を認めた。
■「旧優生保護法は憲法違反」最高裁は『国に賠償を命じる』判決
しかし、国は上告し結論は先延ばしとなった。 同様の裁判は全国で起きていて、5つの裁判に対し、最高裁が統一判断を出すことになった。 5月に最高裁で弁論を終えた際、妻の花子さんは「これだけの長い期間裁判で闘ってきて終わりが近づいているので、とにかく『頑張っていかないと』と思っています」と語っていた。 そして、7月3日、最高裁判所は「旧優生保護法は憲法違反」と初めて判断を下した。 国が主張していた除斥期間については「著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない」と指摘。 原告らの権利は消滅していないとして国に対し、賠償を命じる判決を言い渡した。