「きょうはトシのパスで決める」佐藤寿人が熱く語る最高の相棒・青山敏弘との“伝説のゴール”…「トシのボールにはメッセージがあるんです」
佐藤のなかで一番気持ちの良い瞬間
チームは次節の浦和レッズ戦に敗れながらも、最後はセレッソ大阪、ヴィッセル神戸を相手に連勝して悲願の初優勝を達成する。佐藤はこの年、22ゴールをマークして得点王に輝き、リーグMVPにも選出された。 佐藤は噛みしめるようにして言葉をつむぐ。 「僕が2005年にサンフレッチェに移籍してきて、トシがまだ20歳前後のころからずっと要求してきたし、(ホットラインを)つくっていく作業を妥協なくやってきましたから。普段の練習から凄いパスが来る。僕のなかでは、青山敏弘という最高のパッサーからボールを受けて決めたときが一番、気持ちの良い瞬間なんです。 札幌戦も、もちろんそうでした。確かに初優勝のプレッシャーは僕もトシも、ほかのチームメイトにもあって、なかなか躍動感のある戦いができていなかった。その意味でも、みんなを勇気づけるようなシーンでもあったかなって思います」
青山のパスが導いたもの
〈プレッシャーに打ち勝とう、自分たちらしく戦って優勝しよう〉 思いを受け取ったのは佐藤のみならず、チームメイトもきっと同じであった。吹き込むだけでは十分に非ず、しっかり伝わってこそのメッセージである。 勇気づけて奮い立たせて、お互いに積み上げて、応え合って。青山敏弘のパスは、共鳴を導く唯一無二のパスだった。 〈つづく〉
(「サムライブルーの原材料」二宮寿朗 = 文)
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