「V8」を置き換える直6+モーター メルセデスAMG E 53 ハイブリッドへ試乗 新たな強みを獲得!
通常は140km/hまでEVモード 高精度なステアリング
インテリアでは、メーター用モニターと中央のタッチモニターが独立したセットアップが標準。オプションで、助手席側にもモニターが追加される、AMGスーパースクリーンも指定できる。 フロントシートは2種類。合皮かマイクロファイバーで仕立てられる。メーターのグラフィックやインフォテインメント・システムのメニューも、AMG独自のものだ。 荷室は、駆動用バッテリーの影響で通常のEクラスより170L小さい。サルーンで370L、ステーションワゴンで460Lとなり、足りなく感じる人もいるだろう。 さて、確認はこれくらいにしておこう。E 53 ハイブリッドを起動させると、充電量があればEVモードで発進する。通常は140km/hを超えるまでエンジンは始動せず、極めて静か。しかも、充分に活発だ。 ステアリングホイールはかなり重めで、反応は高精度。乗り心地は硬めだが、そのぶん姿勢制御はタイト。いかにもAMGらしい。 ブレーキペダルの感触は、踏み始めが少しスポンジーに思えた。その理由は、最大120kWの電気エネルギーを生成する、回生ブレーキが備わるためだろう。効きの強さは4段階から選べる。 とはいえ、前390mm、後360mmという大きなディスクに、4ポッドと1ポッドのキャリパーが組まれている。さらにペダルへ力を込めると、ソリッドな踏み応えとともに、確かな制動力が立ち上がる。
本領なら驚異的な加速力 操縦性も正確で着実
スポーツやスポーツプラス・モードを選ぶと、直列6気筒エンジンが始動。動力性能は一気に向上する。駆動用モーターとシームレスに協調し、回転域を問わず極めてたくましい。加速力も驚異的だ。 9速ATは滑らかにギアを切り替えるが、スポーツプラス・モードを選べば6500rpmまで引っ張ってシフトアップ。四輪駆動システムが生み出す安定性も素晴らしい。 0-100km/h加速は3.8秒。先代のE 53より0.7秒も縮めた。最高出力で並ぶV8ツインターボを搭載したE 63は3.4秒だったが、新しいE 53の車重は2240kgと、約290kgも重い。それでも、公道では有り余るほどだろう。 加速時には、豪快なサウンドも放出される。V8エンジンの重厚なバリトンボイスには届かないが。 操縦性は、平滑な公道で許される範囲では、正確で着実。ステアリングホイールは直感的に操れ、最大2.5度まで向きを変える後輪操舵システムも組まれ鋭敏。トルクベクタリング機能が、出色のトラクションも担保する。 サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。ツインバルブ・アダプティブダンパーによるAMGライドコントロールを実装し、通常より広いトレッドと相まって、横方向の姿勢制御も概ね盤石だ。