古巣阪神への決別宣言。大和はなぜ横浜DeNAへのFA移籍を決断したのか?
「いいときも悪いときも応援をしてもらった。厳しい野次もあったが精神的にも強くしてもらえた。大観衆の中で野球ができたことは、自分にとっていい経験だった。(横浜DeNAを選ぶと)阪神のメンバーと対戦することになることが気になった点だが、決めた以上は敵。タイガースを倒して勝た(優勝)ねばならない」 背番号選択の際、阪神時代につけていた「0」も空いていたが、「ずるずるいかず気持ちの上で(阪神と)区切りをつけたかった」と新しい「9」を選んだ。 今季の阪神と横浜DeNAの対戦成績は10勝14敗(1分)、優勝した広島にさえひとつ勝ち越したが、阪神と巨人に負け越したことで3位に終わってしまった。CSで“下克上”を成し遂げ世間をあっと言わせたが、来季のペナントレースを制するには、阪神、巨人との星勘定を改善しなければならない。その意味で阪神から重要なセンターラインを引き抜き、横浜DeNAに加えたという両チームの戦力の差し引きが大きい。 実は、大和が今季もっとも試合数が多かったのが対横浜DeNAの23試合で、ヒット数(19本)も打点(6)も、すべて最多だった。今後、阪神はFA移籍の人的補償を横浜DeNAに求めてくるが、そのマイナス分を考慮しても、大和獲得の意味は大きいのだ。高田GMは「来季は本当に優勝を狙う。大和選手の加入で、いい戦いができるチームになる」と、満足そうに言った。 新天地となる横浜DeNAの印象を大和は、こう語る。 「雰囲気がいいな。若手が活躍しているな」 「点差があって負けていても勝っていても同じように暖かい声援が多い」 「データをみて野球をしていると、そこが気になった」 それでも「人生で初めてチームが変わる」ことへの不安はある。 鹿児島の樟南高校出身の大和は、同じく鹿児島県人で鹿屋中央高出身の戸柱恭孝にさっそく連絡を取り「友達がいないからよろしくな」とチームに溶け込む案内役を頼んだという。 「チームの優勝、日本一に貢献したい」 大和は、ここ最近、見せたことのないような笑顔で写真撮影に応じた。 野球人生の第2章の始まりである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)