古巣阪神への決別宣言。大和はなぜ横浜DeNAへのFA移籍を決断したのか?
ショート、センターのレギュラーは、まだ白紙。今季の開幕は、糸井嘉男のセンター、北條史也のショートでスタートしたが、糸井が怪我でセンターを外れ、その後、高山俊、中谷将大、俊介に加え初コンバートとなる西岡剛が日替わりで守った。後半戦に打撃開眼した俊介が「1番・センター」に定着したが、まだレギュラー奪取とまではいかない。ショートは北條が“2年目の壁”にぶちあたり6月下旬には2軍落ち、新人の糸原健斗が抜擢されたが、怪我でリタイア。来季は、高卒4年目の植田海にも期待がかかるが、結局、勝負のクライマックスシリーズでは、3試合共に大和がショートでスタメン出場している。 センターラインで計算が立つのはセカンドの上本博紀くらいだろう。本来ならば、阪神の方が大和にとって出場チャンスがあり、必要とされるべきであるのに、阪神生え抜きの大和は、悩み尽くした結果、チームを出ることを決断したのである。 「12年間プレーしたタイガースに愛着はあった。でもゲームに出たい気持ちと葛藤があった。(プロ野球選手は)輝ける時間は少ない、その少ないチャンスに飛び込んでいこう。少しでも輝けるところへいきたいと思った」 FA宣言前後から信頼すべき人たちの意見にも耳を傾けた。 「色々な方から、外に出てゲームに出る確率が高いのなら、そちらの道を選んだ方がよいのでは、というアドバイスをもらった」 金本監督は、シーズン中から新人の大山悠輔のショートコンバートを模索するなど、大和を来季のセンターラインのレギュラー争いに参加させる構想は、頭にないようだった。 横浜DeNAとのクライマックスシリーズの第3戦では、最初の打席で併殺打を打つと、わずか3回で、投手交代の際に試合から外されている。阪神のセンターラインが固まっていないだけに、その隙を埋める大和というキーパーソンは、必要不可欠な存在だったはずだが……。契約条件は、残留を要請した阪神の方が横浜DeNAのそれよりも良かった。 だが、大和は「金よりやりがい」を選んだ。期待と責任。出場機会への飢餓感か。 もう、この瞬間から古巣の阪神はライバルになる。