【バイクタイヤ・インプレ】ミシュラン「パワー6」|雨のライディングさえ楽しくさせる、異彩を放つ安心感!
カッコ良さと遊び心、性能だけじゃない楽しさ
幅広い車種にフィットしながらスポーツランをサポートしてくれたミシュラン「パワー5」が大幅にリフレッシュして「パワー6」に進化した。素直な操作性や頼れるグリップ性能、優れたウエット性能などを向上させただけでなく、スタイリングのブラッシュアップにも注目だ。 【写真はこちら】ミシュラン「パワー6」のトレッドパターン 見た瞬間に「おぉッ!」となるルックスの変化がまずは楽しい、名作パワー5の後継モデル、新作「パワー6」。グルーブがサイドに回り込んでいくところに四角いブロックパターンが入り、さらにエッジ部にはゴルフボール状の小さなツブツブ模様が施されているのは前作のものを引き継いでいるものの、メインのグルーブが左右非対称になったことでアクティブな印象となっている。 さらにサイド部にはチェッカーパターンも追加されたことで、「モトGPにタイヤ供給しているメーカーだぞ!」と言うアピールも感じられる。さらに面白いと思ったのは、こんなにカッコいいデザインなのに、トレッド面に配された商品名の「POWER 6」ロゴのフォントが妙にポップなのだ。何だかカワイイじゃないか! さてこのパワー6、基本性能はパワー5から受け継ぎながら、ドライグリップ、ウエットグリップ、ウォームアップ性能、ハンドリングなどを底上げしている。また、今回新たにライトウエイトクラスに向けたフロント110幅、リア140/150幅も設定したことで、より多くのユーザーが「パワー6」を楽しめるようになった。 試乗車はCBR650Rで、前作パワー5と新作のパワー6を装着した車両を乗り比べしたのだが、良い意味で「あまり変わらない」ことに驚いた。ルックスはかなりスポーティに進化しているので、先鋭的なハンドリングを予想していたが、路面温度が低い冬の時期でもストレスなく、ニュートラルなハンドリングで気兼ねなくスイスイと走ることができた。パワー5はとにかく素直で、走る状況に関わらずタイヤが良き脇役に徹してくれるという素性があったが、パワー6でもその美点はしっかりと受け継がれていた。 しかし、ワインディングロードを想定したクネクネ道を走ると、パワー5では一切ステップを擦ることはなかったのに、パワー6ではすぐにステップを擦ってしまった。これはライダーが気付かないレベルで、より安心して深いバンク角に持ち込めたからだろう。 もう一点驚いたのは、軽量車向けのナローサイズの特徴だ。大排気量向けは適度な落ち着きがあり「スポーツプレミアムタイヤ」という感じなのに対し、軽量車向けはもっと鋭い寝かし込みが可能で、そのスポーツ性はワンランク上のパワーGPに通じるものを感じられ、夢中になって楽しめた。 斬新でスポーティなルックスから想像するほどの劇的な変化は感じられなかったパワー6だが、万能で付き合いやすいその特性はパワー5からしっかりと引き継ぎ、「名脇役」っぷりに磨きがかかったと言えるだろう。特に小排気量車ユーザーには是非試してみて欲しい。
ノア セレン