ビットコインが「こんなに爆上がり」している背景 「使わない」暗号資産を大金で買う人が増えた訳
人気スキー場に近い北海道の土地を買うために、円を買う外国の会社。 その中には、値上がり期待でドル資産を購入する個人投資家もいる。 しかし、暗号資産の市場には、値上がりを期待して購入する人がほとんどで、実際の取引に使用する人は少ない。この事実が、値動きに大きな影響を与えている。 ■架空の「東洋経済コイン」で考えるとよくわかる ここでは、簡単な例をあげてみよう。100枚しか発行されていない架空の暗号資産トーケイコイン(東洋経済コイン)を考えてみる。
このトーケイコインに投資しようと思ったあなたは、何枚買うだろうか? 1枚だろうか? 10枚だろうか? おそらく、枚数にはこだわりはないはずだ。きっとこうつぶやくだろう。 「とりあえず〇〇円買ってみよう」 何枚ではなく、いくら分買うかを考えるのが一般的だ。 今、世の中に、1万円ならこのコインに投資してみてもいいかなと思った人が10人しかいないとする。このときのコインの全体(総発行量100枚分)の総額は10万円(1万円×10人)。つまり1枚あたり、1000円(10万円÷100枚)で取引されていることになる。
10人が1000円のコインを10枚ずつ保有している状況だ。 さて、このコインの存在を認知する人が増えて、20人になったとしよう。それぞれが1万円なら投資していいと思ったとすると、コイン全体の総額は20万円になる。このとき、1枚あたり、2000円で取引されている。 20人が2000円のコインを5枚ずつ保有することになる(もともとコインを保有していた10人が半分<5枚>売っている前提だが、中には保有し続ける人もいるから、実際は2000円よりも高くなる可能性が高い)。
こうして、トーケイコインの価格が1000円から2000円に上がるのをみて、さらに他の人も投資を始め、購入者は100人まで増えた。 また、投資する人はこう考えるようになる。 「安定的に値上がりするなら、1万円じゃなくて10万円くらい保有しておこう」 こうなると、コイン全体の総額は一気に1000万円に跳ね上がる(10万円×100人)。その結果、1枚あたりの価格は10万円になる。 ■ポイントは「1枚あたりの価格」が度外視されること